風邪がこじれて体調は極めて不良。

酒もまずく、気分は晴れない。

外にも出られない。

こんな時は、楽しい本を読むに限る。

山本一力に限る!

多くを、床の中で読むのだけれど、これが良くない。

風邪は、床に入り、暖かくして眠るのが鉄則。

一力の本は、それが出来ない。

夜更けまで、ページを繰る手が止まらない。

もう少し、もう一ページ・・・・。

江戸日本橋の大店へ、魚屋の娘、静江は嫁いだ。

娘を産んだが、跡取りの男が産めない。

過酷ないじめにあい、離縁させられる。

娘は朋乃と言う名の、利発な子。

成長して、女だてらに天秤担いで、青菜を売り歩く。

ある朝早く、橋の上で、50両入りの財布を拾っちゃう。

ここから話がややこしくなる。

だが、面白いよ、お立会!

江戸情緒たっぷりだよ、お立会!

岡っ引き二人、市場の頭、頭取番頭、ぐうたら跡取り、

グルの手代、意地悪姑、威張る妾、多士済々。

粋なセリフ、胸のすく啖呵、時々犬のゴンが頷く。

貧乏だが凛として生きる、江戸庶民。

その矜持が胸を打つ!

     風邪が治らねぇ 寅次郎


注:たまゆらは勾玉同士が触れて出る、かすかな音。

或いは、ほんのしばらくの間、の意らしい。


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