十数年ぶりの再会だった。

当時彼は、王子製紙・白鳥出張所所長であった。

ソフトボールのチームメイトとして、よく遊んだ。

外野手で、クリーンナップを打っていた。

今でも記憶に残る試合がある。

その試合、終盤、4;3で我が方がリードしていた。

最終回の裏、相手はツーアウト満塁と攻めて来た。

一打サヨナラ逆転の大ピンチ。

最低引き分けを目論み、外野手を前進させた。

相手の4番がバットを一閃!

痛烈なライナーがレフトへ!・・・大きい!

ショートに居た寅は、この瞬間諦めた。

前進守備のレフトは朝鮮バックして、目一杯ジャンプ。

頭上を越されたっ!と、寅は目をつむった。

次の瞬間、歓声が上がった!

グラブの先に辛うじてボールが引っかかっている。

勝った! この瞬間は、今も鮮明だ。

その時の、レフトが、今日再会した田上君である。

定年後、彼は郷里の木曽福島に帰った。

そこには小さなスキー場があると言う。

そこを再生させたいと言い、郡上へ視察に来た。

快晴のスキー場と、久方ぶりの郡上の景色を見つめていた

遠慮がちに、二枚の名刺を出して来た。

一枚は、薮原神社の総代会会長。

もう一枚には、村会議員の肩書があった。

人口3,200人位の村で、第二の人生を頑張っている。

いや、楽しんでいる風に見えて、うれしかった。

美味しそうな地酒を持ってきてくれた。

ソフト仲間で頂くとしよう!

レフトライナーに花を咲かせて・・・。

いい老紳士になっていた!

       見習いたい 寅次郎

taue

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