「この家の清掃をお願いします」と担当者は言った。
外観は何事もなく見えたが、内部はドロンコ。
泥が隅々まで行き渡っている。
これでも一度は、ドロだしをしたと言う。
部屋の片隅に、野球のバットが数本立てかけてあった。
奥の部屋の書棚には、汚れた本が、乱雑にあった。
その中の二冊に目が行った。
「ドラゴンズ物語」「ドラゴンズ栄光への道」である。
何が悲しくて、俺はこの家を美しくせねばならんのか?
東北にもへそ曲がりのバカな家族がいるもだと感心。
今更、阪神フアンの被災者を探すわけにもゆかない。
今日は、日が悪かったとあきらめ、仕事に取り掛かった。
最初は、前面ドロだらけの風呂場に挑戦。
壁には、油混じりのドロ海水が浸み込んでいる。
洗剤を用いても落ちない。
ブラシで擦りながら、ここの家族はどんな人達なのだろう?
時には、あらぬ想像をしながら、浴槽のドロと格闘した。
何か楽しい事を考えていないとやりきれない。
不愉快と不快感の汗が、どんどん噴き出る。
風呂場を終えて、隣のトイレに向かった。
幸いな事に、トイレの汚臭はしなかった。
マスク等は息苦しいだけで、とても付けていられない。
便器をこじ開けたが、ドロで詰まっている。
水をドンドン注入し、棒で突いた。
暫く続けたら、抜けた!
便秘が一気に治った感じ。
使用できるまでに仕上げた。
植村花菜の「トイレの神様」を信じて便器を擦った。
これで寅次郎もベッピンになれる・・・。
終り頃は、敵の家である事すら忘れていた。
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