陸前高田港にあるホテルの大きな円形の柱。

φ1,000はある大きさだが、表面が削られ鉄筋が出ている。

旋盤で削った様に、円形に削られている。

鉄骨の建物は、飴の如く曲げられている。

鉄筋コンクリートの小さなビルは、そのまま横倒しの状態。

土木の重機械が随所で横転。

車等はマッチ箱に等しい。

恐るべき水の力。

これに呑み込まれたら、人間など粉々にされてしまうだろう。

不謹慎な表現だが、不明者は海の藻屑と化しているのではないか。

想像するだけで、身の毛がよだつ・・・。

どうか“安らかに”と祈るしか術がない。

気仙沼港に入り、いきなり大きな船が陸に居る。

倒れないように、鉄骨で応急処置がなされている。

近づいてみたら、地元の人が寄ってこられた。

「解体屋さんですか?」と問われた。

その人曰く「この船の所に、俺の家があったのだ」

早期の撤去を望んでおられての、問いかけだった。

500m以上先の岸壁から、移動してきている。

これだけ大きな船だ、簡単には解体撤去は難しいだろう。

港の方へは進入禁止だったが、入ってみた。

“凄惨”の二文字だ。

陸前高田は、かなりのモノが流されていたが、ここは残っている。

残っているから凄惨だ。

多くの残骸が、異様な形で迫ってくる感じで・・・驚愕を覚える。

漁船の多くが、かたまって山に登ろうとしている。

あるいは高い所で転覆している。

正常な風景ではない。

自衛隊員がゴムボートに乗り、川底を棒で突いている。

遺体の捜索だ。

海岸沿いの道路は、急造の砂利道である。

大型のダンプトラックが砂塵を巻き上げて走る。

自衛隊が多くのテントを張る、駐屯地もある。

戦場の様相だ。

行けども、行けども、被害現場に終点がない。

志津川に入る。

20mくらい上の杉林に、瓦礫が引っ掛かっている。

鉄道はズタズタ・・・線路は見当たらない。

ここは友人の親友が、今だ不明の所。

あまりの広範囲に、捜す術がない。

何も出来ない複雑な気持ちで、女川に向かう。

新北上大橋が通行止めで、大廻りをしないと行けない。

いったん海岸を離れ、石巻経由で向かう。

途中、コンビニに入ったが、僅かな品物しか置いてない。

石巻もひどい。

市街地の道路は凸凹、停電中で、信号が作動してない。

通行可能な道路が少ないせいか、車が集中してきて渋滞気味。

おまけに瓦礫で狭くなり、車を止めて写真等とても撮れない。

この道路状況ではカーナビも役に立たない。

迷いながらも、夕方、女川に着いた。

          疲労が出始めた 寅次郎
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