僕は幸せになりたかった。

 僕はいつも幸せにあこがれていた。


 あるとき、僕は幸せを君の中に見た。

 だから、僕は君をつかみ取ろうとした。


 君に手をかけたとき、僕は君のあまりの柔らかさにはっとした。

 僕はあやうく君を握りつぶすところだった。


 君の中の幸せは、僕の幸せではなく、君の幸せだった。

 僕は自分と他人の区別がつかなくなっていたのだね。


 僕が君を手に入れたら、僕も君も幸せでなくなるだろうね。

 僕は君の幸せを祈ろう、それは僕のものではないけれども。