もう、死ぬ事にはーー飽きた。
そろそろ、生きることを、始めよう。



「クビキリサイクル」
「クビシメロマンチスト」
「クビツリハイスクール」
「サイコロジカル」上下
「ヒトクイマジカル」
「ネコソギラジカル」上中下

の6タイトル9巻からなる、異能と狂人と人外と変態が大量に出てくるミステリ「戯言シリーズ」。


「サイコロジカル」までは読んでおり、数年ぶりの戯言シリーズ。
しかし、事もあろうに「ヒトクイマジカル」を飛ばして、いきなり最終章を読み始めてしまった事に
「ネコソギラジカル」上の後書きを読んで気付いたのでしたΣ(゚д゚)


どこから読んでも楽しめる独立性を持った作品なのが幸か不幸か……


取り敢えず、外連味たっぷりの西尾維新節の文章・キャラクター・セリフ回しで相も変わらず大いに楽しめたので、問題ないという事にします。


一般に幸福と不幸というのは対立概念のように捉えられていて、実際のところそれは概ね正しいわけなんですが、しかし幸福でなければそれ即ち不幸であり、また不幸さえなければそれ即ち幸福なのかと言えば、実はまったく違うような気がします。


という書き出しで始まるアトガキの心地良さといったらないですね。


わかりやすくスタンドで例えるならパープルヘイズみたいな感じなんだな?

幻影旅団だかGUNG─HO─GUNSだか、何をリスペクトしてんだか知らないが、錚々たるメンバーというには……あまりにも変人揃いだな


と、講談社なのに集英社始め他社作品ネタを忌憚無く盛り込んでくる辺りも好きです。


最終章という事で、オールスター勢揃い。
冒頭の登場人物紹介の人数の多さに面食らってしまいますが、このお祭り感は堪らなく楽しいです。


ただ、最早一般的な殺人事件の起こる推理小説とは掛け離れてしまいました。
けれども、物語に仕掛けられた謎の数々、ダイナミックな展開は健在。
これも広義にはミステリと言えない事もないでしょうか。


その答えは中下巻を読まないと解りませんが、とりあえず気になる続きをさておいて「ヒトクイマジカル」から繙きましょう。


75点。







鈍らせるな。萎えさせるな。あんたという人間を冒瀆する万千に牙をむけ


2013年、理想都市『NO.6』に住む紫苑は、9月7日が12回目の誕生日であった。だが、その日は同時に彼の運命を変える日でもあった。ふとしたことから、『矯正施設』から抜け出してきた謎の少年、ネズミと出会う。彼を介抱してあげた紫苑だが、それが治安局にばれてしまい、NO.6の高級住宅街『クロノス』から『ロストタウン』へと追いやられてしまう。それから4年、謎の事件をきっかけに彼は様々な事件に巻き込まれ、いろいろな人々と出会う。そして、理想都市が成り立っている裏側にある現実、『理想都市NO.6』の隠された本質と意図を知っていく…。
Wikipediaより


アニメもノイタミナ枠で好評放映中の、近未来SFwithBL。
NO.6の核心に迫っていく、5,6巻。

5巻の終わりは闇。6巻の終わりは光。
対比的な2つの引きはどちらも強く、続きを読みたくなる物語の牽引力があります。


しかしですね、やはりそれ以上に目についてしまうのは紫苑とネズミのいちゃいちゃぶり。


5巻の最初から


耳朶のすぐ近くでネズミが笑う。同時に腰に回った手がさらに強く胴を締め付けてきた。
あんたの強がりなんてちゃちなもんさ。
そう囁かれた気がした。しかし、実際耳に響いたのは、
「落ちるぞ」
すべての感情を排除した平坦な声だった。


という飛ばしっぷり。


その後も、ネズミのセリフが


「転がれ」

「立て。壁に張り付くんだ」


こんな児童文学がありますか、あさのあつこ先生っ!(・∀・)(ニヤニヤ顔で)

相変わらず、掛け算の激しい作品です。
そして、掛け算はA×BはB×Aとしても答えが同じになる交換法則がありますが、それを証明するかのような作品です。



70点±BL分。