夢の雫

揺れる刻


ふわりふわり草原を

駆ける鼓動は苦しみに

ゆがむ希望を打ち砕き

彼方に霞む樹々さえも

騒ぐ梢の風の中


温もりだけを抱きしめて

駆ける時間が再生の

夢膨らませ包み込む

ただ一瞬の喜びと

溶ける心の安らぎへ


緋に染まった夕暮れの

空に漂う恋ひとつ

揺れる想いで一掴み

遠く輝く刻の中

拡がる地平に投げつける











夢の雫-暁の里


朝焼けの村


たった一つの言の葉に

朽ちて汚れた青春の

流れる傷の滴りを

耐えて震える我が思い


北の朝焼けほの赤く

大地に刻む樹の陰が

足元掬い宙に舞う

ふわり漂う我が視線


放たれ叫ぶ夜の道

君住む丘を前にして

滲む悲しみ突き刺さる

帰らぬ時の煌めきよ

夢の雫-イチョウの街



  燃える季節


燃える季節が通り過ぎ

風のぬくもり街角に

貯めてざわめく心持

ほっとため息こぼしても

イチョウの黄色に吸い込まれ

華やぐ心がよみがえる


あの夏の日の夕暮れが

輝く瞳の交差点

雲に流れて飛んでいく

青と白とに散り散りに

ぐっと唇かみ締めて

燃える季節を描き出す

たそがれ時の街角で

ぐらり心が揺れていた