ハンガン、キムジュンヒョクの作品に続き、チョンセランの『アンダー、サンダー、テンダー』を読んだ。

 

主人公の「私」は、友人や家族の姿を動画で記録している。それを一つにまとめたファイルの名が、「アンダー、サンダー、テンダー」である。

 

「私」が住んでいるのは、坡州市。軍事境界線を隔てて朝鮮民主主義人民共和国と接し、市内に非武装地帯がある。高校にはバスで通っていた。「私」、ソンイ、スミ、ミヌン、チャンギョム、ジュヨンの6人がバスに乗るメンバーだ。

 

ソンイはファッションリーダーで編み物がうまい。スミは穏やかな顔をした楽天家。ミヌンはみんなの憧れの的、坡州のアイドル。チャンギョムは優等生。ジュヨンはめったに笑わない。

 

スミはミヌンに片思い。チャンギョムは学校で一番きれいな子に告白し、即座に断られた。学校一の美人が選んだのはミヌンだった。

 

誰かが失恋した時、誰かはキスしてエッチして…

アンダー、サンダー、テンダー

まだ完全には発達していなくて、それでも鋭い光と音を放ち、それなのに優しくて柔らかい…

アンバランスであることで、バランスをとっている…

アンダー、サンダー、テンダー

 

そんな時、事件が起きた。スミの弟スホが、ジュヨンの兄ジュワンを銃で撃ってしまったのだ。スホは脱走兵が置いていった銃を見つけ、撃ってみたいと思った。1日に2発だけ撃とうと決めた。死んだ犬の胴体を撃ち、突然現れたジュワンを撃った。

 

スミとスホは、いつも叔父から殴られていた。

小説に書かれていないことを想像しても、仕方がないだろう。

でも、スホは銃を見つけた時、強くなったような気がしただろうか?

叔父よりも強くなったように思っただろうか?

 

大人の男性が、自分の感情で子どもを殴ることは決して許されない。

でも、スホは見つけた銃を届け出なくてはならなかった。

銃は、人を傷つける武器でしかない。自分の身を守るものではないのだ。

 

時が過ぎ、6人は30歳を超えた。

「私」は映画美術の仕事に携わっている。ソンイは客室乗務員になった後、「ニットの女王」と呼ばれるブランドで働いている。スミは社会福祉士となり、家を追われた女性たちの世話をしている。ミヌンは造園家。チャンギョムはインプラント専門の歯科医。ジュヨンは代理店というのだろうか、あの分野の人、この分野の人を探し出し適する会社に紹介していた。

 

完全なのか不完全なのか、鋭い光を放っているのか、柔軟性はあるのか。

わからないけれど、皆、生きている。

 

 

 

『アンダー、サンダー、テンダー:under,thunder,tender』新しい韓国の文学 13 

チョン セラン/著 吉川凪/ 訳

クオン 2015.6(初版第1刷)