生々しいので

ご注意ください

血は出ません



今朝旦那さんが○吊りました


朝6時30分ごろ

今日は

旦那「ヤクルト来るけど断ってくれ

病院も体が動けんから、もう行かん

どこも行かん」


「体が動かんかっても

どなんかして連れて行けるよ

足も動いてるやん、動けんことないよ」


朝のパーキンソン病の薬を1回分飲んでなかったので

「起床時と朝食後2回飲まないと」


ぬるま湯を渡して

飲ませました


○ビンの中身を捨てて来て

「ちょっとカエル捨ててくる」

うんうんと頷きました


車で数分走って草が生えた小川に

土色のカエルを放しました

ドボンとならず

大概擁壁に一度当たります

痛そう


泳いでいくのを見てから

帰宅して

朝食後、メダカの見回りとかして

家に入ったのは

9時過ぎてたかなと思います

ココで旦那さんを見に行かずに

ボーっとテレビを見てると

旦那さんの呼び出しチャイムがなりました


「もう、なに?」

ぐらいのノリで寝室へ入ると

居ません

トイレにも見えず

履き物もある


でも一応外を一回りして

ボケて徘徊したかなとか思いながら

キッチンに戻って勝手口を開けると


居ました


脚立に上がって

電気コードを二重?(何重かわからん)にして

軒から首に回してました


「なにしよん!」

「ワシ、もう死んでもええな」


脚立を蹴りました


咄嗟のことで

声も出ません

下から腿を抱き上げ

「しっかりしな!足をふんばれ!」

私の膝に足を乗せましたが

もともとあまり踏ん張れないので

力を入れません


倒れた脚立を足で起こして

肩に旦那さんのお尻を乗せたまま

二段しかない脚立の上に足を乗せさせて

腿を叩きました


「ふんばれ!力入れて!」


だらりとして足が落ちます


辺りを見回しても

ボイラーの室外機は遠い

私は背が低いのでコードがゆるまず

「グー、ゴー」と呼吸音が出て

生きてることだけはわかります


場所は倉庫と母屋の間で

全部囲ってあるので誰からも気づいて貰えない

叫べば良いけど声が出ない


扉が遠いので蹴ることもできない


携帯を持ってない!


取りに行くには

一度離すしかない


焦るばかりで時間だけが過ぎていきます

後で警察官に何分経ったか聞かれましたが

そんなんわからん!


どうにもならないので

旦那さんを離して

携帯を取りに走りました


脚立に乗って

旦那さんを肩車して

110番しました


肩に当たるズボンが濡れて来て

気持ちが焦ります


落ち着いてと言われても


119番より

駐在さんに連絡が行けば速いかなと思い

聞かれることに答えながら

「グー、ゴー」と聞こえてるので

まだ生きてる!早く!早く来て!


足がダランとなった

首のコードをゆるめたい

脚立の上に立ってみたけど

私が落ちそうで


音が止んでしまいました

少し動いてた足もダランとなりました

ぶら下がった旦那さんを肩車したまま

腿を何度も何度も叩きました


2分、3分…困った、どうしたらいい?


戸が開いて

警察官が飛び込んで来ました

農具があるので鎌を見つけて

「大丈夫ですか!紐を切りますよ!もう少し辛抱してください!」


足がピクっと動きました

「生きてる!」


コードが簡単に切られ

旦那さんは横向きに崩れ落ちました


怖かった

頭から落ちるかと思って

警察官が支えてくれたようです


外へ引き出され

足が少し動き、口が動き、大きく息をしました

警察官さんが呼び掛けてます

私は動悸と息切れが激しかったけど


ああ、支度しなくっちゃ

「準備して来ます」


警察官と救急隊が到着して体を調べ

ロープ、切った鎌を確認


お薬手帳が無い!

飲んでる薬の袋をねじ込んで

歩けるかどうかわからんけどスリッパ入れて

財布、保険証、自分の携帯、

そうだ!

バッテリーとコード、寒がりの旦那さんの上着

ウロウロしても

足りてるのか足りてないのか分からん


裏に回ると救急隊と警察官が忙しく動いてました


こんな時に変だと思われるけど

ワンコに餌を食べさせました


何も知らないワンコは

いつも通り美味しそうに食べてます

足で掻いたらしく背中の傷が痛々しいです


「保険証、お薬手帳用意してください!」

「用意しました!」

そう答えたのに

焦って乗ったら持ってなかった

「すみません、用意したのにもってません、止めてください」


なんてこと!


近所の人が見守る中

家まで走って、玄関に忘れた物を持って乗り込みました


今日は私服警察官も乗ってました


救急隊員と警察官両方に質問され

息は上がってるし、サイレンは耳に突き刺さる


朝からの様子

いつから予兆があったか

記録するのだから仕方ないが

「ちょっと前」ではイカンし

全て数字で答えるのは難しい


まだ余韻で脳みそが働かない


一旦近くの医療センターに搬入された


ココでも事務方に引っ張って行かれ

救急隊にお礼も言えなかった

私服警察官も私に同行した


廊下でも質問が続いた


家族構成、近所付き合い、人間関係、生命保険

経済状態…

誰が、いつ、どこで、何のためにかった電気コードで、どこに置いてあったか…


警察官が席を外した時

救急隊員が様子を見に来てくれた

息子の知り合いだった

ココで初めて涙が出た

暫く側でいてくれたが、警察官が戻って来ると

ちょっと頭を下げて帰って行った

不謹慎だが、いつ見てもオトコマエだ

(命に別状ないので…)


電話で連絡入れながら

質問も終わり

警「このまま自宅に連れて帰られても、今回は助かりましたが、もう一度あるかも知れない

安易に考えず然るべきところでしっかりとした治療が必要かと思います

これまでに悲惨な例も見て来ましたので…」

穏やかにお話してくれた

最後にやはり


「帰りはどうなさいますか?」


「タクシーで帰ります」


「大変な一日でしたね、お帰りになったらゆっくりお休みください」

「お世話になりました」

警察官たちは帰って行った


この後この医療センターの内科の先生に呼ばれ

いつもの大学病院はベッドが空いてないので

また、隣の病院に入院する手筈が整ったと仰った


救急車で運んでくれる


今度は医療センターのスタッフが同行してくれた


たった先で神経科の先生の問診を受け

また数枚の書類を仕上げた


施錠できる部屋が空いているとのこと

ついて行ったが

死角に立った

部屋の中には何もない


まだ、顔を合わせたくない

旦那さんも私を探す気配はない

良かった


明日、いつもの大学病院のベッドが空くとのことで、転院する


どうやって運ぶのか?

三階で繋がってるので

ストレッチャーで移動するとの事

よかった


顔は合わせたくないが

明日は入院手続きに行く


最期にアイツは止めなかったと思っているだろう


いずれにせよ、私には無理

一緒に居られない


物は取り次いで貰えるから

携帯、タブレットは持ち込めるかどうか

明日聞く事にする


今から娘が早退して

迎えに来てくれる


一時間、夕暮れの往来をボンヤリ眺めた


お気に入りの珈琲店に連れて行ってくれて

夕食とケーキをご馳走してくれた


明日を過ぎると

生活が変わる


私と顔を合わせたら

旦那さんはどうなんだろう

40年一緒に暮らしたけど

もう別人


明日行ったら

「顔を合わせたくない」旨、相談してみよう


明日一日、頑張ろう