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君との出会いは唐突だった
近くの畑の中の木の下で、声をからして泣き続けていた子猫・・・・・・・・・

待っていたんだね、迎えにきてくれるのを
今か、今かと、そして暗くなって、心細くなって・・・・・
それでも鳴くことしかできなくて・・・・・・・

お風呂上がりの君は、まるで濡れ鼠のようなグレーの子猫・・・・・・・・
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安心した君は、死んだように眠った・・・・・・

君の時間は私のそれとは違う・・・・・・
あっという間に娘盛りに・・・・・・・・

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君はなぜか、私を気に入って・・・・・・
私も君が好きでした・・・・・・・
私の前でだけ君が見せる姿を、私はおかしく思っていました・・・・・・・・・

だって、いつもはツンと澄まし顔の君が相好を崩して、体を振りながら、私に甘えて鳴く・・・・・

机の上に乗った君に顔を近づけると、君は待っていたかのように、君のおでこを私の額に・・・・・・・

そして嬉しそうに鳴いてみせて・・・・・
私が眠るとき、君は私の脇の下に潜る・・・・・・・
それは君がいなくなるまで変わることはなかった
しかし、ある頃からひとつ変わったことがある

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君はいつも、眠る前のひととき、私の手を舐め続ける
舐めるのに飽きると君は、眠った・・・・・・・・

と思っていたんだ。

けれども本当は君は眠ってなどいなかった・・・・・・・・

私が眠ったふりをしていると、君はそっとベッドをぬけだして・・・・・・・・

幾度も試したけれど、いつも同じだった・・・・・・

それで思い出したよ昔のことを、君の知らない先輩の雌猫がやはり母親のようにしていたことを・・・・・・

その対象は私ではなく、私の娘だったのだが・・・・・・
まだ子供だった娘を、私が叱ると彼女は私の娘の間に立ちはだかって、

  『叱らないで! 泣いてるのに可哀想だよ!』

そう、私に訴えかけた・・・・・・

君も、彼女も自分の子を持つことはなかった、しかし彼女は娘を、君は私をいつかしら子供と思っていたのかもしれない・・・・・・・・・・

君が、いなくなって随分となるが、もし私が君のいるところに逝く日が来たら、君は私を叱るのだろうか

 『随分待ったのよ! もっと早く来るかと思ったのに』

と、笑顔混じりにね・・・・・・・・

                                     by tora