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 視 線

 背中に視線を感じて、振り向いてみる
 其処には誰もみえてはいない、きらきらと輝く霧が深く立ちこめる

 視線を感じた方向に目を向けると 
 深い霧の中の中に、天空から一筋の光がおちている
 何もみえはしない、何もみえはしないのに、其処に微笑みを見る
 
 見えない女の、みえない微笑み、
 口元が微かに微笑をたたえているのを感じる

 優しい口元・・・・・・・・
 目には何も見えないのに、それがわかる
 
 その人の目元は優しく僕を見つめている・・・・・
 何もみえはしない、それでも僕にはそれがわかる

 つつまれていく感触をからだに感じて
 やさしい想いにひたる
 
 それは光芒のおちている場所から感じるぬくもり
 目をこらしてそれを確かめようとする

 光はさらに輝きをまし
 すべてを白一色に変えていく
 
 やがて目を開けていることすら出来なくなる
 強い光だけが、優しく輝き何もみえなくなる

 耐えきれなくなって目をつぶる
 まぶたに光を感じる
 
 やがて、それが収まりまぶたを開けると
 立ちこめていた霧は其処になく

 緑の草原が広がる
 空には太陽がさんさんと輝き
 抜けるような碧い空が広がる

 緑の草は柔らかい感触の風に遊んでいる・・・・・・
 光芒のおちてきた辺りの空を見上げると
 
 見えない女が優しく手を振っているように思える
 みえない微笑みを口元にたたえ・・・・・・
 みえない目元に優しさをたたえ・・・・・・・
 
 その人がいた辺りまで、行ってみる
 葉に柔らかい感触の水滴を載せた草が茂って
 優しく笑っている・・・・・・・・・ 
 
                         Poem by Tora 2006.11.14