のんさんのブログを読んでちょっと思い出したことがあります。

 もう数年前になりますが、秋の筑後川流域装飾古墳公開に行ったことがあります。

定番(?)の「珍敷塚古墳」や「日ノ岡古墳」、「原古墳」は毎年公開されていますが
近くの『寺徳古墳』は毎年公開されていません。

 この『寺徳古墳』が、とても印象深い装飾古墳でした。

 普段の装飾古墳ですと、覆屋に囲まれていたり、閉ざされたガラス(保存の為)に阻まれて
なかなか直に見ることが出来ません。
見ることが出来る装飾古墳でも、装飾が少なかったり、褪せていたり・・。
正直ガッカリします。
レプリカ見て終われば良かった・・と思うことも。

 しかし、この『寺徳古墳』は違いました。
地元の教育委員会の方達が石室にライトを置いて、その中で見学するんですが
薄明るい石室にぼぉ~っと装飾が見えてくるんですね。
目がだんだん慣れてくると、装飾が浮き上がってくる感覚で見えてくるんです。

 言葉で表現出来ないくらい感激しました。

 装飾古墳は何のためにどんな意味で、死者に手向けて描かれているのか全くと言っていいほど
解明されておりません。

 でも、僕が寺徳古墳の石室で感じたことは『死者を守る・死者の鎮魂』ということでした。
幾何学的である意味幼稚で稚拙な九州の装飾古墳ですが、筑紫の君磐井の乱後に突如現れる
地下の絵画芸術はかけがえの無い日本の原始絵画美術だと思っています。