美唄市にはいくつかの炭鉱がありました。

 財閥系のヤマは三井と三菱があり、ともに美唄は出世コースのヤマで、札幌で初物を一番高値でセリ落としたものは、翌日三井美唄の重役の食卓にあると言われたほど、それなりの高給の人が揃っていたという逸話。

 三菱美唄が閉山する際には、希望する鉱員を全員再就職させるために東京本社が奔走したほど、美唄で育てられた役員がたくさんいた。

 

 そんな美唄市で石炭輸送した美唄鉄道は三菱美唄の石炭を国鉄美唄駅に輸送する為に運行された鉄道です。

 廃止されたのは昭和47年ですから50年ほど前になります。

 

 美唄鉄道の東明駅と構内に置かれた十連連結タンク機関車が今回のカードです。

 

 国鉄型蒸気機関車でいうC62とかD51のアルファベットが動輪の数です。Bは動輪が2つ、Cは3つ、Dは4つ、Eは5つ……。ディーゼル機関車、電気機関車も同様で、DD51はディーゼル機関車で動輪が4つ、EF65は電気機関車で動輪が6つの意味の記号です。説明がザックリしてますが。

 

 動輪が少ない方がスピード重視、多い方がパワー重視の設計と言われていました。

 北海道に移籍した後のC62重連で運用された急行ニセコも、山線で使うのはもったいないなぁと思いました。平坦路をフルスピードで走る為の設計だったのに…。と子供ながらに思った記憶がありました。

 

 SLの区分けでもうひとつ、タンク機関車とテンダー機関車があります。

 機関車本体に石炭と水を積める機関車と、炭水車を連結しなくてはならない機関車。

 C11はタンク機関車の代表格で、後方も見やすいので転車台のない駅でも(逆向きで)折り返し運行できるメリットがありました。

 ただ、積み込める石炭や水の量に限界があるので、長距離向きではありません。

 炭水車連結でも途中で補給して長距離運転していた時代をご存知の方もいることでしょう。

 

 C11とかC62の数字の11~50はタンク機関車、51~はテンダー機関車の番号です。

 

 長い講釈を挟んでしまったけど、美唄鉄道の十連連結タンク機関車を国鉄型記号でいうと、片側に動輪5つですからE型蒸気機関車になります。

 国鉄にE型蒸気機関車はなかったのでE11型蒸気機関車と命名されていたのかもしれません。

 

 大量の石炭を輸送する為に動輪が4つの貨物用機関車D51よりも力持ちSLが必要だったようです。

 急こう配だったという説もあります。これはいささか「??」の部分もありますが、美唄三菱鉱は出炭が多かったし、ヤマから美唄駅までは急こう配だったという歴史を伝える遺産が、今でも残されています。

 

 過去に訪問した時のblogを探したけど出てきません。

 いずれ東明駅そばの球場で独立リーグの試合を見る機会があるでしょうから、また寄ってみたいと思います。

 

 廃止から50年と考えれば傷みはしかたない。でも程度としては酷くない。

 炭鉄港ブームで訪れる人が増えつつあります。

 駅舎も保存会の方が守っています。

 

 いつまでも大切にされているだけで喜んでいるはずです。大事な鉄道遺産です。