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69 生駒玲於奈の場合:5 「エピローグ」

「ハイ、新聞です」

井ノ頭小百合が生駒玲於奈に朝刊を渡す。

「ん、ありゃーと(ありがと)さん」

スポーツ面に桜木玲香の撮った写真入りで、チームアイオンによるフォーミュラNGZ初参戦初優勝の記事が踊っていた。

「優勝・・・しちゃいましたね♪」

嬉しそうな井ノ頭の声。

「小百合さん、遠藤さんのとこに優勝のお祝い、贈っといてくだしゃいな」
「ハイ」と井ノ頭が返事をした。すると生駒はこう付け加えた。
「あっとぉ、それからコレ。黒岩さんにもお祝い、贈っといてちょ」
「え・・・?」井ノ頭は目を丸くして、生駒の顔を見る。
「新しい義足。今度のはね、ハイヒールが履けるカタチにしといたのじゃー(笑)」
「所長、いつの間に・・・」井ノ頭の表情が曇る。そして、
「所長、またムリしたんですね?もぉ・・・ムリはしないようにって、あれほどお医者様に言われてるのに・・・」
井ノ頭の言葉を受けて生駒が笑顔で返す。
「大丈夫大丈夫。さゆさんがコワイからそんなムリはしてまへ~ん。とにかく、コレよろしくね」

「ハイ」

井ノ頭の表情は、苦笑から輝くような笑顔に変わった。

「さゆ(井ノ頭)さーん、鍋吹いてるよー」

キッチンから須藤万理華が呼ぶ。

「ハーイ」

とたとたとキッチンへと駆ける井ノ頭を見送りながら、生駒は微笑し、つぶやく。
(さゆさん、ゴメンね。ホントはちょっとムリしちゃったの。でもそんなの言えないじゃん)
そして再び新聞に目を通し、

「やったね♪」

満足げに微笑むと、そう言って生駒はおおきく息をついた。

(さぁーて、なかなかにしんどかったけど、よかったよかった・・・)

そう思いながら、生駒は目を閉じて椅子に身を沈めた。

新聞が生駒の手を離れ、床にバサッと落ちる。

しかし生駒はそれを拾おうともせず、ずっと目を閉じたままだった。

その表情は本当に安らかで・・・。





しばらくして井ノ頭が食事を運んできた。

「所長、ゴハンですよー・・・所長?どーしたんですか?もぉ・・・寝ちゃったんですか?・・・所長!?」

生駒は返事をしない。そればかりか、目を閉じ、安らかな表情のまま、全く動かない。

「所長?・・・所長!?」

井ノ頭が生駒の身体をゆすって起こそうとする。しかし生駒は起きない。

「やだ・・・所長?ウソ・・・ですよね?・・・イヤぁ・・・いやぁあああ・・・」

「なんちゃってぇ♪」

急に目を開けて笑い出す生駒。

「もう!本気で心配したんですからね!」

拾った新聞を生駒の顔に投げつけると、井ノ頭は、少し涙目でふくれた。

そんなふたりにジトーーーとした眼差しを向け、須藤がボソリとつぶやいた。

「・・・一生やってろ」




 ・・・END♪




    *    *    *

あとがき。


ども、匿名絶望です。


終わりました。

お読みくださったみなさま、ありがとうございます。

元の文章を別のカタチで書きはじめたのは、

昨年の・・・11月頃でしたかねぇ・・・。



最初、

登場人物それぞれのものがたりをオムニバスで書いて、

”○○の場合”といったカタチで各章を配置・構成し、

改めて全体を構成しなおして、その都度

加筆・削除・修正して、発表のカタチになりました。



その間に、セーラ・畑中・ラインハルト役を想定してた

畠中清羅さんの卒業など残念なこともありましたが、

畑中はそのまま残しました。



それに、なんといっても

2014年の紅白歌合戦初出場内定報道がありながら、

現実には出場が叶わなかった乃木坂46のみんなの無念さ。



それでも彼女らが前を向いて進む姿は、

見ていてとても気持ちがよかったです。



(※追記 その後、2015年末の紅白歌合戦に

      乃木坂46の出場が叶いました)



カタチは違えど、何かそういった

数々の障害・苦難を乗り越えて、

みんなで一緒にがんばって、目標を達成する

という映像作品を見たい・・・という気持ちから

こういったものがたりを書きはじめました。



でも・・・

7月10日より、

「悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46」

http://www.2015-nogizaka46.jp/


が全国公開されます。



リアル(事実)には敵わないですよねー、

やっぱフィクションは。



でも、

アイドルのドキュメンタリー映画って、

どーしてもアイドルファンをターゲットとしてる

感じがあって、一般の映画ファンには

受け入れられるのかなー?などと思ったり。



その点、フィクションでも

一般の映画ファンに受け入れられるものにさえ

なっていたら、その方がいいようにも思えますが

いかがでしょう?



一方フィクション・・・ドラマでも、

「初森ベマーズ」(テレビ東京系)がありますが、

これもどんなお話になるのでしょう?




ブログにて作品(・・・と云えるかな?)を発表する

というカタチをとったのはやはり、

手軽だから。



友人にこのカタチで小説を発表してたヤツも居て、

それも参考にしました。



あと、ブログだと、雑誌や新聞連載みたいに

読んでもらえるかなーって。



勿論、このものがたりが

実際に映像作品になるとは思ってません。



当ものがたりには

フォーミュラマシン、

医療ロボティクス、

AI内蔵義足、

ドローン・・・etc.

色んなハイテクが出てきますし、

それらを実際に撮影用に作るのも、

或いはCGでやるのもタイヘンでしょうし。

費用の面でも。



できることなら、何らかの流れの中で

乃木坂46メンバーの誰かにこのものがたりが伝わり、

読んでいただけて、


「おもしろかったよ」


って言ってもらえたら・・・


などということがあれば、

それは無上の喜びですね。