fadoおじさんのblog~明日の君に~

fadoおじさんのblog~明日の君に~

子ども達の未来を共に考える、小さな個別指導の学習塾の先生fadoおじさんのblogです。

 ここ1~2年、体調が優れません。最初は、耳の中に蝉が千匹ほど鳴いていてめっきりと言葉が聴きとりにくくなりました。次は、目・・・。老眼の進行と視界が狭まり、次は、口の中のネバツキ。耳鼻科、眼科、口腔内科と通っているのですが。どこの先生の見立ても『老化なので慣れるしかありません』との事。「これが老いと戦う事か」と納得。それじゃ西洋医学はあてにならないので、東洋医学のお世話にでもなりますか?って感じですね。たまたま、昔、通っていた生徒さんの、お父様が東洋医学の病院をやっておられるので、近々お世話になろうと思っています。

  また、相変わらず夜は眠られず、読書量だけは、恐ろしく増えた感じですね。(読む時はハズキルーペのお世話になっております・・・。笑い)

 

 20年前に、患った『脳梗塞』の方は、先日、MRIと、大脳のエコーを行った結果、大脳は、隙間もなく、とても若々しい。青い色の海馬(海馬を見たのは初めてです)も十二分にあるので、全然問題ありませんという事でした。血管はプラークも全く無く若者の脳のようだとは担当のN先生の言です。(笑い)

 

 当初は、このblogも、そろそろフェイドアウトしようかなと思っていたのですが、あるきっかけで、思いとどまって、細々と続けようと思っているところです。

 新学期からとても少ないながら私を頼って入会してくれた生徒さんもいることですしね。

 『ボクちゃん、頑張るもん』と、3か月前から、スクワット50回、腕立て伏せ30回、腹筋30回、背筋30回、ウオーキング5000歩と一日も欠かさず頑張っているところです。

で・・・。生徒たちにとっては迷惑な話ですが『生涯現役』を貫こうかな・・・?なんて思っています。(笑)

 

 そんなこんなで、3か月ぶりにblogを綴ろうか?と思っていたのですが、さぼっていたので、中々、テーマも見つかりません。その内、おもしろい話も見つかるでしょう。と、今回は、駄文を綴ることにしました。興味のない方はスルーしてくださいね。

 

『我が青春の中の“黒いオルフェ”』

 

 古い住宅の畳の上に、ごろりと寝転がって、昨日、札幌から戻ってきた兄がかけたレコードを聴くとはなしに聴いていた。レコードはプレーヤーのターンテーブルの上をゆっくりと廻っている。軽快なボサノバのリズムをバックに、アルトサックスが小さな音で滑らかなフレーズを囁くように歌っている。その歌に、ジャズギターがテンションをたっぷりとくわえたコードを柔らかく絡みつかせている。アルトサックスは、3コーラスのアドリブを歌い、終止形をへてギターへとバトンはタッチされた。ギターは、郷愁を湛えたメロディーのふちを、高く、低く、時には、寄り添うようにアドリブを歌っている。「なんて、爽やかなのだろう・・・」こんなに美しく滑らかな音楽は、かつて聴いたことがあっただろうか。ギターは、単音のソロから少しずつコードを重ね、終止形に向かったとき、全てがコードソロになった。その瞬間、起き上がって、レコードのジャケットを手に取った。アルバムタイトルは“ポール・デスモンド「take ten」”かかっていた曲は「映画、黒いオルフェのテーマ“カーニバルの朝”」、ギターはジム・ホールとなっていた。

 

 田舎に、若者が集まる、“空間”というパブがあった。斜陽化(しゃようか)している

街に、何軒かある飲み屋の内、レギュラーバンドが入って演奏を行っている唯一の店である。(なんか1968年に、メリー・ホプキンが歌って大ヒット曲「悲しき天使」のような雰囲気が漂う店ですね)・・・。

 

入り口の階段を下ってゆくと、店内は30人ほど客が入る比較的広いスペース、一段高くなったステージには、ドラムセットが2台、アップライトのピアノと電子ピアノ(エレクトーン)、コンガが据えてある。ピアノ・ドラム・ベースギター・ギブソンのギターの4人のメンバーにもう一人ドラムが加わることがある。スタンダード中心に毎日3ステージをこなしていた。バンドのリーダー(ピアノ・キーボード)は、同じ職場のO氏であった。ステージの合間に、若気の至り・・・私も、自分のギターを持ち込んで飛び入りして場違いなクラシックの曲を弾いたりしていた。その日も、マスターや客のしかめた顔を横目に見て、無神経を装い何曲か拙い演奏を終えようとしていた。ふと気がつくと、何と、後ろにバンドのメンバーがスタンバイしていた。あっという間の出来事であった、リーダーの幾分高めでかすれた声が「黒いオルフェ!Dm!」とメンバーに告げていた。何をしたのか覚えていない、馬鹿の一つ覚えみたいに必死にDmのコードをつまんでいた。曲目とキーだけで演奏してしまうバンドの凄さを知った時でもある。以後「黒いオルフェ」の美しく哀愁を帯びた旋律は青春の憧れとともに、かすかな胸の痛みを伴って心に残ってしまった。

 

 札幌に出てきてから3年ほどあと、O氏が亡くなったという便りが届いた。まだ、40代と言う若さであった。これで競演し、雪辱を晴らす日は永遠に・・・。

 あれから随分と長い年月が経ってしまった。僕の、本当に数少ないレパートリーの中の一曲として「黒いオルフェ(カーニバルの朝)」がある。残念ながらキーはAm・・・・。

 

 For Ingrid『黒いオルフェ(カーニバルの朝)』作曲:ルイスボンファ

 You tube  

 

 

  Paul Desmond(as)Jim Hall(g)Gene Cherico(b)Connie Kay(ds)

 

 1959年のフランス・ブラジル・イタリアの恋愛映画のテーマ音楽。映画は、ギリシャ神話のオルペウス(オルフェ)とエウリュディケー(ユリディス)の物語の舞台を、公開当時のブラジルリオデジャネイロに移しかえたものです。