日本 PTA 全国協議会の前会長である金田淳氏は、「パワハラ」を理由に会長職を強制的に辞めさせられたようなのですが、その点はここでは触れません。(「パワハラ」が本当にあったのか、それとも金田氏が不当な処置を受けたのか、は私には判断できません。)

ただ、組織について興味深い発言がありましたので、それをここで取り上げようと思います。

ただ皆さんに私たちのやっていることがしっかりと伝わっているかというと、そこが弱いと考えています。そこで今年は発信力の強化を大きなテーマにしています。具体的には今年から日Pの広報誌の発行を年2回から3回に増やしました。

これは interview 記事なので金田氏の主張が充分に書かれているかどうか不明なのですが、客観的には広報誌の発行回数の増加はほぼ無意味だったのではないかと思います (担当者の負担増で終わった可能性も高いと考えています)。

こういうのって、全国の PTA 会員のうち何%が読んでいて、読んだ人のうちどれくらいが「有用だ」と感じていて、みたいな数値を元に、費用や労力が見合うかどうかを判断すべきです。広報誌の発行回数の増加が本当に改善だったのか、私は懐疑的です。

新体制のスタートにあたって今挙げた「発信力の強化」のほか、「情報連絡機関としての役割強化」「PTAを取り巻く課題の検討」「組織の透明化」「外部有識者等からの助言や提言」「800万人のPTA会員の皆さまから意見を集約するシステムを構築する」「ブロック会長会や各協議会との連携を強化する」「文科省や関係団体の取り組んでいる施策等について、分かりやすくPTAの皆さまに知ってもらう」「次年度、こども家庭庁との連携を強化する」「必要とされる日本PTAを目指す」といった改革案を示しました。

すみません、個別に論ずる時間はないので総論的な書き方をしますが、どんどん負担を増やして町内会役員を潰していく連合町内会の思考にかなり似ている気がします。(各論を書かずに批判することは良くない、とは承知しています。)

負担が 0 なら、全ての改革案は実現される方がいい内容であることは確かです。でも問題は、費用負担や労力負担が見合うかどうかなんです。

「ブロック会長会や各協議会との連携を強化する」なんてのはおよそ最悪の部類の提案だと思います。連合町内会でも、役員の成り手が減っているからもっと連携を強化しないといけない、みたいな論調がありました。でも、連携を強化するには労力負担が伴うのです。効率化・電子化を強力に推進した後ならそれも可能かも知れませんが、連合町内会の方々は古くて非効率な手法のまま更に仕事を増やそうとしてきたので、なおさら役員の成り手が減っていきました。


PTA って任意参加の団体なのに、事実上の強制参加の団体として運用してきた校区が殆どで、そういう (はっきり違法とまで言えなくても) 問題が大きいまま現在まできてしまいました。

勝手な予測ですが、日本 PTA 全国協議会はあと数年でもっと多くの加盟団体が抜けていくと思います。20年~30年後も数県くらいは残っていると思いますが、大筋として衰退路線に入ってしまったことは間違いないと思います。

東洋経済の記事の書き方がどこまで妥当か分かりませんが、この記事の全国大会部分を読む限り、費用対効果 (負担対効果) の感覚を失っている団体に見えます。


うまく表現できないのですが、組織の構成原理みたいなものが歪んでいると、そのしわ寄せが誰かに向かいます。