桒原三段の話を受けて、色々な業界が衰退期に入っているのか入っていないのか (成熟期が終わったか終わっていないか)、私見を述べようと思います。

囲碁界は、残念ながら既に衰退期に入ったものと思われます。囲碁愛好家の絶対数も、人口に対する比率も、どちらも急激に落ち込んでいます。プロ棋士の人数のあまりの多さから、改革も進まないでしょう。誰が陣頭指揮をとってもどうにもならない気がします。

将棋界は、恐らく成熟期と衰退期の狭間にいるものと見ます。長期的には衰退傾向にありますが、藤井聡太八冠が登場してから結構持ちこたえているように見えます。50年後も将棋が大衆文化として存在するためには今から5年間~10年間くらいの種蒔きが重要であると思われます。

新聞業界は、基本的には衰退期に入ったものと思います。大手新聞社もいくつかは存続できないでしょう。ただ、社会の公器としてなるべく公平な視点を保とうとする新聞の精神は、それなりに需要があると思います。何社かは紙媒体ではない形を中心に存続するような気がします。

町内会は、多くの市町村で衰退期に入ったものと評価しています (手遅れ状態になってから既に何年も経っています)。社会の現状に合わせて町内会も改革していれば生き残れたのだろうと思いますが、残念ながら改革速度は現状に追いつけませんでした。個別の町内会の衰退の原因は連合町内会にあり、連合町内会の衰退の原因は市の行政手法にある、というのが私の見解です。

子ども会は、町内会よりも先にどんどん消滅しています。私が住む地区の子ども会も、年に数回の行事しかないのに、子ども育成会の会長が町内会役員に自動的に組み込まれていて役員会議への出席義務が発生し、(恐らくその負担感から) 子ども会が休止しています。町内会も子ども会も「自分たちは何をして何をしないか」を決める主権がかなりないがしろにされている状態なので、復活の目はもうありません。

日本は、未だ衰退期に入っていません。人口減の局面に入ったことは確かですが、そもそも第2次世界大戦後の歪な年齢波動の影響がまだまだあります。先進国共通の出生率低下は日本でも見られますが、近隣諸国に比べればましな方です。産む子どもの数を絞り込んで1人当たりの教育費を多くする方が良い、という社会構造を是正できれば人口は下げ止まると思います。そういう社会を実現するには数十年か数百年かかると思いますが、未来の日本人に期待しています。