初めて「と金を用いた手合い割」の記事を書いたのは2020年ですが、その後少し工夫してそこそこ等間隔と言えそうな手合い割を考えましたので、ここに記します。


まず最初に、関西将棋会館の道場の手合い割が妥当であると仮定し、これを (あまり性能が高くない) 私の PC 上で水匠5 (2021-11-23) の1手60秒で評価値を算出しました。

2段級差 左香落 -185
3段級差 角落 -632
4段級差 飛落 -763
5段級差 飛香落 -941
6~7段級差 2枚落 -1586
8~9段級差 4枚落 -1834
10段級差 6枚落 -2301

切片 0 の回帰分析で、関西将棋会館の道場の1級差は水匠の評価値で219.48程度ということが分かりました。


駒箱に駒を入れる将棋 (駒落ち将棋) は駒1枚の価値が極端に変わるので、なるべく40枚の駒があるほうが望ましいと私は考えています。

結論を先取りしますが、「レベル差 1」とは2.33段級差を表すことにします (子どもへの分かりやすさのため、段級差から「レベル差」を算出し、整数値に丸めます)。以下、全て上手側が先手です。

レベル差 1

評価値 -536 (約2.4級差)

レベル差 2

評価値 -1090 (約5.0級差)

レベル差 3

評価値 -1631 (約7.4級差)

レベル差 4

評価値 -2002 (約9.1級差)

レベル差 5

評価値 -2382 (約10.9級差)

レベル差 6

評価値 -2924 (約13.3級差)

レベル差 7

評価値 -3537 (約16.1級差)

レベル差 8

評価値 -4035 (約18.4級差)


これらの手合い割と数値はいくつもの仮定の上で算出されたものに過ぎないので、あまり過信しないで下さい。

この手合い割で子ども達に対局させたところ、そこそこ好評でした。ただ、良い点と悪い点があります。

  • 序盤の定跡の練習にはあまり向きません。下手側は、と金が多いこと、持ち駒が多いことを忘れてしまえば平手と同じように指すことができなくはないですが、それでも駒組が終わったら平手とはかなり違うものになると思います。
  • 駒落ちによって盤上の大駒の価値が暴騰するのに比べると、この方法は駒の価値が平手とほぼ変わらないので、その点はよいことだと考えています。
  • 級位者 (特に序盤をあまり学んでいない初級者) にとってはまあまあ役立ちそうに思いますが、有段者にはあまり適さないような気がします。
  • 「レベル差 8」でも、本当の入門者にとっては対局がきついことがあります。
  • 指導対局の場合は、駒落ちの方が良いかも知れません。(下手側が平手と同じ初期状態であるため。)