以下の盤面は、先日実際にあった局面です (先手は私、後手は初心者)。
この後、相手は ☖6六馬 と指しました。あなたなら、次の一手はどうしますか。ちょっとだけ考えてから、続きを読んで下さい。(なお、正解はありません。)
勝つための将棋なら、 ☗同馬 しかないでしょうね。でも、相手は初心者です。1一馬 の利きを見逃しているのです。
「痛い目に遭うことで、その悔しさをばねに強くなってほしい」と考えるなら、 ☗同馬 が正解です。
私が気にしていることは、「☗同馬 の痛み」と「強くなりたいという気持ち」と、どちらが大きいかということです。後者の方が大きいなら、やはり ☗同馬 で正解です。では、初心者はどれくらいまで棋力が上がったら後者が前者を上回るのでしょうか。
正直に言って、私にも分かりません。まあ、(関西将棋会館道場の) 15級くらいまで強くなれば、大丈夫なような気がします。20級だと微妙かも知れません。
私が将棋を指していて楽しい局面は、こういった局面です。相手が 1一馬 の利きを見逃しているので、私も見逃すことにします (1一馬 が存在しないつもりで指します)。私が選んだ手は、☗7九玉 でした (こちらが下段に逃げる方が、相手はこちらを詰ませやすくなるため)。
なお、ここから24手先、相手の攻めがひと段落したところで、私は ☗2一馬 と指しました。馬が 1一 に残ったままだと、終局後に相手から「あれ、さっきの局面で ☗同馬 と指していたら、形勢がとても変わったんじゃないですか?」と気付かれないようにするためです。初心者には、攻める練習をしてほしいので、それ以外の要素はこっそり排除しておきたいのです。(考えるべき事柄を減らして、思考をまとめやすいようにしてあげたい、と言ってもいいかと思います。)
因みに、とある普及指導員の方の方針で、「居玉の吊るし桂だけは痛い目に遭わせる」というものを聞いたことがあり、私はその時に「なるほど」と思いました。対処法は簡単で、居玉を避けたり、5八金右でも何でもいいから玉頭を守るだけでも防ぐことができます。痛さよりも「次からこうすれば良い」という展望の方が大きいので、これはやっても良さそうに思います。