前にプロ棋士が将棋ソフトがすごく強くなって、プロ棋士も将来はどうなるかわからないという記事を書きましたが、一方で将棋ソフトの進化はアマチュアなどの将棋が強くなる効率化をもたらすと思います


私が現役バリバリで将棋を指していた35年前くらいの頃は、もちろんインターネットはなかったので、将棋の勉強方法は以下のような感じでした
・序盤の定跡研究
・詰将棋を解く
・プロなどの強い人の棋譜を並べて研究する
・高校の部活や地元の将棋道場で対局する


私は将棋を本格的に始めたのが小学校6年生頃だったので、高校時代に北海道大会に出場して勝つには効率的に強くなる必要がありました


だから私は序盤の定跡研究と棋譜を並べて研究するを中心に将棋の勉強をして、序盤で有利になって、攻めて勝ち切るスタイルにしました


一方で詰将棋をあまりやらなかったので、終盤はあまり強くなく、結構逆転負けも多かったです


それでも最大の目標だった将棋の高校の北海道大会で3勝1敗の成績は、個人的には満足しました


私の現役時代を思い出すと新聞に掲載されている将棋の棋譜を切り取って集めたり、将棋雑誌を買って棋譜を見たり、戦法の解説の棋書を買ったりとかなり非効率な勉強法だったと思います


今のようにインターネットが普及して棋譜もいろいろ見放題で、オンライン対局も誰とでもできて、将棋ソフトという最強のツールがある時代だったらもっと強くなれたと思います


前に羽生善治九段が語っていた将棋の棋譜のデジタル化による「高速道路理論」は、さらに進化していると思います


この「高速道路理論」というのは、将棋はインターネットである一定のレベルまでは、高速道路のようにスイスイと強くなれるけど、一定レベル以上は大渋滞になっているという話しでした


これまで将棋の正解手は、棋譜のデジタル化が進んでも、基本的には自分で研究して、必死に考えて正解手を見つけるという感じでした


その将棋の正解手が、今の時代はプロ棋士よりずっと強い将棋ソフトが見つけてくれる時代になったので、これを勉強して理解して記憶すれば、どんどん強くなっていくと思います


これは将棋ソフトへの同化ですが、将棋ソフトがプロ棋士よりずっと強いので、将棋ソフトの同化がプロ棋士を超える方法となっています


だからこれからの時代は、ゲームでよく遊ぶ高校生くらいまでの若い世代が、将棋のゲームの解決法を探すノリで、どんどん強くなってプロ棋士より強い人がどんどん出てくる可能性があります


将棋ソフトで勉強すれば、プロ棋士より強くなれるということになると、将棋のプロ棋士の価値が暴落する可能性があります


これまでプロ棋士になるには、若い頃に天才少年と言われるくらい強くなって、奨励会に入って天才少年の中で勝ち抜くしかないという「将棋のエリート」というブランドがありました


それが将棋ソフトで勉強してプロ棋士より強くなる人が、どんどん増えたらプロ棋士のブランドも一気に暴落していくと思います


だからプロ棋士も今のような将棋連盟という公益法人に所属している人達という概念もどんどん無くなって、個人が賞金が出る大会を勝ち抜くトーナメントプロみたいなスタイルにどんどん変わっていくと思います


そうなった場合は、プロ棋士で生活できる人は今よりずっと減っていくと思います


これまで天才少年が勝ち抜いた「将棋のエリート」がプロ棋士というイメージから、将棋ソフトで効率的に勉強した人達が誰でも賞金を争うという形になっていくと思います


今後の将棋界は激動の時代になっていくと思います