認知症老人の詩 ~消えかかる記憶を辿って~ -4ページ目

認知症老人の詩 ~消えかかる記憶を辿って~

認知症で要介護5の母が2022年6月に永眠しました。享年94歳。これは、おぼろげな呟きに込められた思い出の場面を辿った介護日記です。

8月は亡き母の誕生日と、

父の命日があり、

また、終戦記念日には、

両親の遺影を眺めながら

東京大空襲、大阪大空襲を体験した父と母の

若い頃を想像したり…

 

そんなわけで、

いつもは質素な仏壇のお供えですが、

今月は両親が好きだった料理を作るなどして、

ちょっとだけ特別なお供えをしておりました。

 

特に13日から17日の間は、

 

「どこか近くに来てるのかな?」

 

なんて思いながら、

あたりを見回したりしてみましたが、

特に何も起こるはずはなく

(何か起きたら、それはそれでコワいですが)

平穏に過ぎました。

 

そもそも、亡くなった人たちが

お盆にあの世から帰ってくる…という話は

あくまでも空想でしかないのだし、

むしろ、おなじ“空想”ならば、

「生まれ変わり」の方が魅力的だな

…と私は思っています。


昨年、母の葬儀を終えて、

お骨を抱えて自宅に帰ってきたとき、

山下達郎の「REBORN」という歌が

ラジオから流れていました。

 

*山下達郎自身が歌っているバージョンは

 YOU TUBEでは見つからなかったので、

 門脇麦が歌っているバージョンを添えておきます。

 

 

あの日、この歌を聴きながら見上げた空を

一生忘れることはありませんし、

父と母の魂が、

どこか遠い空の彼方で安らかに

私を見守ってくれている

…という空想は、

時には、とても大きな慰めになってくれます。

 

でも、

遠い空から私のことを見守るよりも、

二人とも生まれ変わって、

再び、この世のどこかで、

新たな人生を歩んでいるのではないか

…という空想を思い描くほうが、

私にとっては幸せなことです。

 

父と母が、かつて戦争のために

謳歌することのできなかった青春を

思う存分に体験できるような

そんな人生を歩み直していてくれたら…

そう願うからです。

 

今年の8月、私は

街を歩くたびに何度も空を見上げ、

どこかで生まれ変わった父と母が、

今、この空を見上げているかも知れない

…そんな空想を思い描いていて、

そのことが何よりも私を慰めてくれたのでした。