誰も教えてくれない賃貸住宅の話

誰も教えてくれない賃貸住宅の話

実務歴20年の不動産コンサルタントが賃貸住宅の「どうしたらいいのか」についてお話しします。
賃貸住宅の「家探し」から「退去」までの役立つお話。

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急な立ち退きを言われたらどうすればいいのでしょう。


普段から少し怖いと思っている不動産会社の人から、急に「6ヵ月以内に出て行ってほしいんだけど」と言われたら、「えっ。そんな」と思いつつも、「出て行かなきゃいけないんだ」と思っていませんか。


理不尽だと思いつつも、言われた通り前の家を出て、新しいところを探すのが大変だったという話を良く耳にします。

私の身内でもこうした立ち退きを要請されたことはありましたから、珍しい話ではないのですが、そういう話をしている皆さんに共通しているのが、立ち退きを言われて次の物件を急いで探さなくてはいけなくて、大変だったし、お金もかかって赤字だったと言うのです。


契約の種類によるのですが、仮に「普通賃貸借契約」であれば、相手の都合で立ち退きを言われても、基本的に立ち退く必要はありません

そのことを知らない方も多く、そういった話を持ち出してくる不動産会社も相手(入居者)がそういったことを知らない前提で話をしてくるのです。

契約の種類のところでお話しましたが、「普通賃貸借契約」は借り手側が強い契約で、契約を解除するためには、

・借り手側の申し出

・借り手側に契約違反や信義則違反がありるとき以外

つまり、貸し手の都合の場合は「正当事由」が必要とされています


例えば、「建物を建て替えるから出ていってほしい」というのはこれだけでは「正当事由」に当たりません。これに加えて「その建物は入居者が生活できないほど老朽化している」などの事由のほか、“財産上の給付”(立ち退き料、明け渡し料など支払い)が整わなければ、「正当事由」とはならないのです。

したがって、余程のことがない限り、出ていく必要はないのです


そこで、一般的には立ち退きにあたって、立ち退き料などの支払いをして、お金で解決するという手段がとられています。

私の身内の立ち退きのときも、この立ち退き料の交渉で調整して一定の金額をもらうことで決着しました。

この立ち退き料や明け渡し料と言われるものには、市場や相場というものがありません。その辺がやっかいなのですが、結構な金額まで要求しても認められた判例がたくさんあります。


納得のいく金額の提示がなければ、立ち退かなくてもいいでしょうし、ある程度の金額で手を打ってもいいでしょう。 もし、普通賃貸借契約であるにもかかわらず、急な立ち退きを言われたら、基本的に立ち退く必要はないということを覚えておいてください

私個人的には、余程その賃貸住宅を気に入っているなら別ですが、そうでなければ、ある程度納得のいく給付を受けた方が得策だと思っています。


ただし、契約の種類が「定期借家契約」になっていると話は別です。

基本的に契約の更新がないという前提の契約ので、更新をしない旨の書面による通知があれば、契約満了とともに立ち退かなければなりません。繰り返しになってしまいますが、ここは契約の形態が重要なポイントになることにご注意を。

皆さんも普段何も意識することなく、家電製品を部屋のコンセントに差し込んでいることでしょう。


基本的に日本で(あるいは日本向けに)製造された家電製品は特に問題なく動作するので、細かく気にする必要はありません。

それでも、一応、知識として知っておいてもいいかもしれませんので、ちょっとだけお話しします。


それは、関東と関西では周波数が異なっているということです。


関東では、100V/50Hz

関西では、100V/60Hz

となっています。

(境界線は、、富士川を抜けて群馬・長野県境と富山・新潟県境を通っていると言われています。)


前述の通り、基本的に日本の家電は自動で周波数を認識しますので、特に意識する必要はありません。


ただし、見慣れない、安い家電では、極まれに「50Hz」のみ対応逆に「60Hz」のみ対応というものがあるようなので、チラッと確認するぐらいはしてみた方がいいかもしれません。


万一、地域の周波数に対応していない家電を利用すると、

・家電自体の寿命が短くなる

・故障の原因となる

ことがありますので、対応していない場合には部品交換や対応させるアダプターを使う必要があります。

ちょっとしたことですが、引越の機会にでも確認することは悪くありませんね。



ここで、電気の話のついでに、ちょっと照明器具の話をしましょう。


これまで、引越をしたことがある方には身に覚えがある方もいるかもしれませんが、照明器具を設置しようと思ったら、器具が付けられない。こんなことありませんか。


天井にあらかじめ設置されている照明を取り付ける金具が付いたコンセントのことをシーリングというのですが、このシーリングにはいくつか種類があり、照明器具によってはすぐに取り付けられないこともあります


その場合は、天井に付いているシーリングに合うアダプターをホームセンターなどで買ってきて先に付ける必要があります。


そこで簡単にシーリングの種類だけ見てきましょう。



誰も教えてくれない賃貸住宅の話-角型引っ掛けシーリング

角型引っ掛けシーリング

少し古い物件や分譲住宅でも和室によく付いているのがこのシーリングです。照明器具を設置にあたってアダプターが必要になることが多いようです。



誰も教えてくれない賃貸住宅の話-丸型引っ掛けシーリング 丸型引っ掛けシーリング

このシーリングも角型同様、アダプターが必要になることが多いようです。




誰も教えてくれない賃貸住宅の話-丸型フル引っ掛けシーリング 丸型フル引っ掛けシーリング

このシーリングであれば、おおよそアダプターなしで照明器具がつけられるようです。




誰も教えてくれない賃貸住宅の話-引っ掛け埋め込みローゼット 引っ掛け埋め込みローゼット(耳付き)

このシーリングは少し前の分譲住宅では最もよく見られるもので、賃貸住宅でもよく採用されています。耳の金具部分にねじで照明器具を固定することができます。ただし、照明器具によっては天井との距離が合わずアダプターが必要になります。



誰も教えてくれない賃貸住宅の話-引っ掛けローゼット フル引っ掛けローゼット(耳付き)

このシーリングは分譲住宅では最もよく見られるもので、賃貸住宅でも新しい物件ではよく採用されています。耳の金具部分にねじで照明器具を固定することができます。ほとんどアダプターなしでほとんどの明器具がつけられるようです。




賃貸住宅が決まったら、まずは照明器具が付いているか確認しましょう。


その上で、照明器具が付いていないければ、採寸の時にこのシーリングの種類もどんなものなのか確認するようにするといいかもしれません。

新しい照明器具を買ってすぐに取り付けられないとイライラしますから。

今回は、賃貸住宅に入居する際、加入する「火災保険」についてです。


最近は入居時に「火災保険」に加入することが(必須)条件になっている物件が大半といっていいでしょう。



そこでまずは、「なぜ、加入が条件になっているか」についてです。


仮に、ある入居者が原因で火災が発生したとき、「失火責任法(「失火法」ともいう。)※1」によってその入居者は失火(火災)に伴う賠償責任を問われないことになっています。

つまり、自分が原因で火災が発生し、周りに被害を及ぼしたとしても、その賠償責任はないということになります。


しかし、自分が原因で火災が起きたとき、「失火責任法」でも「重大なる過失ある」ときは賠償責任が問われます

また、賃貸借契約によって家主との間に「原状回復義務」を負っており、これは火災の損害賠償とは別で復元義務は履行しなければなりません


つまり、結局は火災を発生させてしまうと、自ら賠償しなければならなくなります。


火災の賠償となれば、その金額は大きなものになりますから、やはりその備えとしての保険には加入しておいた方がいいのです。


さらに、逆に自分以外の誰かが火災を起こし、延焼被害を受けた時は、損害賠償してもらえませんから、自分の家財などは自分で守らなければなりません


こうした自分が被害を出したときの原状回復や被害を受けたときのために、火災保険(厳密には火災保険と借家人賠償責任保険、個人賠償責任保険がセットになったもの)への加入が必要になってきます。


家主さんも建物の火災保険に加入している方がほとんどですが、家主さんが加入する火災保険では自分の家財までは守ってもらえませんし、原状回復義務は入居者の負担なのでやはり火災保険への加入は必要になります。



※1【参考】

失火責任法(正式名称:失火ノ責任ニ関スル法律

公布:明治32年3月8日法律第40号

施行:明治32年3月28日


 民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

以上


また、火災の他、台風、地震等の災害や水漏れ事故、盗難なども火災保険(地震は地震保険への加入が必要)でカバーします。


次に、その火災保険の補償範囲についてお話しします。


火災保険(家財の保険)

基本となる保険です。この保険に加入することで自分の家財を守る保険となります。


借家人賠償責任(特約)保険

賃貸入居者用の火災保険では、基本の火災保険にこの保険が特約として付くことがほとんどです(この特約に加入するために火災保険に加入すると言ってもいいかもしれません)。

この保険は「家主(大家)さん」に対する補償を行うための保険ですから、必ず加入しておきたいものです。


個人賠償責任(特約)保険

賃貸入居者用の火災保険では、この保険も基本の火災保険に特約として付くことが多いものですが、中には付帯していないものあるようです。

この保険は「家主(大家)さん以外の他人」に対する補償を行うものなので、やはり水漏れで下の階の方に被害を与えてしまった場合などはこの保険に加入していないと保証されません。


類焼損害(特約)保険

これは自分が火災を起こしてしまい、周りに火が移ってしまったときの保険です。賃貸住宅ではここまで加入している方は少ないです(持ち家でも少ない)が、自分が火元となって周りに被害(類焼あるいは延焼被害)を与えたら、そこには住みにくくなりますね。

そうしたことがないように加入しておく保険ですが、前述の通り、失火責任法によって損害賠償は負わなくてよいことになっています。そのため、加入者が少ない保険ですが、賃貸住宅入居者向けの保険では、ここまで付帯した火災保険に加入していることもありますので、確認は必要です。

持ち家の方は入っていた方が安心です。


地震保険(特約)

地震保険も単独では付帯できない保険で、火災保険の特約として加入するものです。賃貸住宅の入居者の方が、地震保険まで入っておくかどうかは、自分の家財を守るために必要かという観点で選ぶべき保険です。


地震保険では、家財の場合最大で1,000万円までしか保険をかけられません。

一般的な賃貸住宅にお住まいの方は、この金額でも概ね十分な気がしますが、高級賃貸にお住まいの方は、地震保険だけでは、すべての財産が守れませんから、銀行の貸金庫を利用するなど別の手段で財産を守る必要があります。


難しい話もあって、よくわからなかった方もいらっしゃるかもしれませんが、賃貸住宅への入居時に加入する火災保険は決して無駄なものではありません。よほど高額な保険料を請求されていなければ、加入した方が正解です。


一般的には2年間の保険期間で2、3万円です。

もし、高額な保険料を請求されているなら、不要な保険までセットされているかもしれませんので、注意が必要です。


ちなみに、住宅(居住)用と事業(店舗・事務所)用では、保険料もだいぶ異なります。