レンは――
牢屋の隅で
ずっと震えていた。
ケイが彼の身体を摩っていた。
弟はされるがまま、
彼に身を任せているようにも見えて、
小刻みに震えている様子が、
怯えているようにも見えた。
〈レン君?〉
レンは、ケイより頭が良い。
きっと自分の状況を
誰よりも理解している。
そして、
元々体が弱かった彼の
命の灯は脆く細く揺れていた。
誰かがそれに近づいて
吹き消せば、
簡単に朽ちてしまうような
そんな弱々しい灯だった。
ユウの心の炎を、
メラメラと燃え上がる愛しさの炎を
見たばかりの私の目には
レンの灯の弱さが悲しかった。
きっと、この子は寄生虫を
逃がしただけでは生きられない。
彼が、生きられる方法は1つ。
ここからずっと遠く離れた裏山にある
薬草を採ってくることができれば―
この子はこの病気からも解放される。
でも、今から
この子の寄生虫を取り除き、
命を救うには今日1日の猶予しかない。
私は、この子を寄生虫から守り、
薬草を採りに行けるのか?
この子の命を守ることができるか?
きっと、
私の魔法は自分のためには使えない。
効力を発揮しない。
自分の時間稼ぎのために
使える魔法は存在しない。
考えがぐるぐる頭を駆け巡って、
眩暈と吐き気に襲われそうになる。
頭痛が私の思考を邪魔してくる。
どうして、ここまでして
レンを助けようとしてるのか、
私には分からない。
祖母から受け継いだ
という魔法使いの心を、
今ここで発揮する必要がどこにある?
でも、レンは今も大きな病気と闘い、
きっと心で寄生虫と戦ってる。
身体と心、両方に大きな負担を抱いている。
寄生虫が彼に寄生したのは、
レンの心の弱さに付け込んだ訳じゃない。
きっと、身体が弱い事に付け込んだんだ。
今、彼の心に語り掛けて、
寄生虫を元の世界へ
戻るように仕向ける事は簡単だ。
選択を迫られた、その時、
ゴウが私の肩にそっと手を置いた。