少し日が経ってくると
私の噂をする人も
減ってはいたけど
声を掛けられることは
度々で・・・
「ねぇ、君が噂の
魔法使いさん?」
やたらと距離の近い
その人は、
軽やかな笑顔で
そう聞いてきた。
〈…そうだと思いますけど、
なにか?〉
「そう、警戒しないでよ。
俺の名前はリク。
一応、ケイと一緒に
警備隊してるんだ。
あの日も近くに居たんだよ?」
〈そうですか・・・〉
「うん…」
そういうと彼は
空を見上げて一転、
喋らなくなってしまった。
不思議に思って
見上げると、
その目に切ない
悲しい影が纏っていた。
〈どうかしたんですか?〉
そう問いかけると、
彼の瞳に私が写って、
何もなかったように
彼の瞳に光が戻って。
「ん?ううん。
なんでもないよ。
ユイと仲良しなんでしょ?
ユイのお母さんが言ってた。
最近あの子に
友達ができたらしいのって。
ここにはなかなか
あのぐらいの
女の子がいないからね、
ユイも嬉しいんだと思うよ。
あの性格だと、
言いそうにないけど…」
〈ユイぐらいの年代の子は
城内では珍しいんですか?〉
「うん。掃除や洗濯を
まかされてる
下核組織の人たちは
家族で移り住んでる事が
多いけど、
なぜか男の子が
産まれる確率が大きくてね。
それに女の子は
街に出ていくしね。
ここでは、
将来に絶対の保障が
ないから勉強に出るんだ。
ユイみたいのは珍しいよね。」
〈そうなんだ。〉
「だから、トモちゃんが
ここに居る間だけでも
仲良くしてやって。
俺じゃ、異性だしやっぱりね。
限界ってもんがあるからさ。
今日みたいに
ユイが忙しい時は、
俺、だいたい暇だから
遊びに誘ってよ。」
〈警備隊。
って忙しくないの?〉
「ないよ。基本、
化け物が出ない限りはね。」
そういって、リクは笑った。
結局その日は、
彼の影に踏み込むことは
出来なかった。
話しかけやすい、
朗らかな雰囲気を
持っているのに、
一歩踏み込めない、
固めている心がそこにあって
なにか伝えたくない秘密を
持ってるんだと分かるけど、
それ以上踏みこめなかった。
リクとは、
適度な距離感を保ちつつ、
誘われた時だけ、
遊びに出かけた。
彼との会話内容はいつも
くだらない事だったけど、
なにか聞き落してる、
見落としている事が
あるような不安に駆られていた。
そんな時、出会った彼は
太陽のような底抜けの
明るさを持つ人だった。