
いつも、思うの。
記憶って、
どうしてこんなに曖昧なのかって。
本当にずっと、
そう、永遠に、
刻み込んでおきたいもの程、
時間が過ぎる度、塗り替えられていく。
大切な命がなくなったことを
自分のせいにするのは
そうやって自分を追い込むことで
その命を刻み込もうとしているからで

そのまま、時を止めたくなるのは
これ以上、一歩も動けないからで。
16才のままのカンナは
どこにも流れず、ここにいる。
自分を檻に閉じ込めたままで。

「大切な人を失っても、
人はまた愛することが
できるのでしょうか」
止まったままの時間を動かすのは
新しい誰かじゃない。

大切だった時間を受け止めて
前に向かおうとする
その、自分自身の心なんだな。

塗り替えられた、
潔く柔らかな記憶に
そっとキスをしよう。
