『気が小さくて、臆病な奴なんだよ。
思い通りにいかないと
踏ん張りがきかない性格なんだ。
あいつに我慢できるわけないんだ。』


でも、もう家族がいるんだよ。
奥さんもいて、子供もいるんだよ。
半端な気持ちでなんて生きていけないでしょ?
今までだって、そうだったんだから。
たぶん心の内側にすべてを抱え込んで、
周りからは飄々と生きているように見えるんだ。
でもそうじゃない。
誰よりも傷ついて、誰よりも考えて、
否定して、否定されて、だから、
最期ぐらい最後まで向き合ってほしいんだよ。


『俺にはなんにもねえんだよ』
『今更俺に何ができるっていうんだよなぁ』


ずっと俺につっかかってくれてたのは、
ずっと俺のこと、信じてくれていたのは、
赤鬼だけだったんだから。昔も、今も。


『先生が来るときは不思議と落ち着いてるんだよ。
きっと癌も、赤鬼が来たらビビっちゃうんだ。』


今までの分まで「ありがとう」って言って
今までの分まで「ごめん」って言って
今までの分まで悔しがって
今までの分まで努力して
あの時言えなかった言葉を言い合って
分かち合って、分かりあった。
やっと分かり合えたんだよ。


『悔しさを背負った分、大人になったんだよ。』