思想家である孔子は「学び」の重要性を弟子達に頻繁に説いています。『論語』におけて一つの大きなテーマです。

 孔子はあまりに博識であるがゆえ、弟子達との問答の際、”自分達とは違い、先生は天才だから”などと思われてしまっていたようで、ことあるごとに「私は天才ではないが、学ぶことが好きということは誰にも負けない!」と語っていました。

 そこで、論語の一句を紹介します。

『子曰、吾嘗終日不食、終夜不寝、以思。無益。不如学也』

[子曰く、吾嘗(かつ)て終日食わず、終夜寝(い)ねず、以って思う。益(えき)無し。学ぶに如かざるなり]

訳:孔子は言った。「私はかつて、一日中食事もせず、一晩中寝ることもせず、考え続けたことがある。しかし、それは無益なことだった。ひとりで悩んでいるより学ぶことの方が大事だ」と

 人は誰しも寝食を忘れて問題解決に没頭することがあり、糸口が見つからないまま悩み続けてしまうこともあります。しかし、人生には試行錯誤するだけでは、全く解決しないことが沢山あります。

 良き師との出会い、良き書との出会い、そして良き経験など、学びの方法は色々ありますが、掲句は、独りで考え悩み続けるより、他から学ぶことを推奨しています。まさに孔子らしく、学究心の旺盛さと気持ちの切り替えが表現されています。

 ところで、対人支援を生業とする私も、以下のような悩みを常に抱えています。

1.外国人雇用に携わる人事担当及び経営者、社会に初めて飛立とうとする若者、セカンドキャリアに新天地を見い出そうとするシニア等、クライアント各々に寄り添う姿勢をどのように示せば良いだろうか?

2.クライアント各々の課題解決に向けて、新しい視点をどう提案したら良いか?

3.セミナー講師の自分を振り返り、自己成長に繋がる学び直しにどう挑むべきか?

 特に3.の学び直しは、論語のテーマに関連するので大切に紐解きたいと考えます。

 現代医学において、「学び」は脳と心の健康を促進し、レジリエンス(人生のしなやかさ)を支える力になるという、大変心強い最新の知見も出てきています。

 そうしたことから、老頭兒(ロートル)を自覚する私ですが、この夏、なんと海外の語学学校に入学し、一定のカリキュラムを履修してきたことをご報告いたします。

 選んだ学校は、タイ・プーケットにあるP.L.S(Patong Language School)です。

 生徒として毎日決まった時刻に登校し、所定のテキストが与えられ、目標とする課題をこなし一日を過ごす、そんな生活を送って来ました。勿論、学内で日本語は使えません。テキストも解説も全て英語で、自分が理解できない箇所があれば英語で質問しなければなりません。毎朝のルーティンとして、昨日遭った個人的出来事、プーケットでの生活で感じたこと等を英語でスピーチし、それについて先生から質問を受け、返答する、いわゆる質疑応答を繰り返す会話の時間帯がありました。

 対話を重視し、楽しい雰囲気と環境を先生方が一生懸命に創る努力をされている印象の学校で、評判どおり素晴らしい学校でした。久しぶりに教育現場に浸り、緊張とワクワクが入り交ざった充実の日々でした。

 仕事に繋がる云々を全く度外視した今回の選択でしたが、何歳になっても「学び」は楽しいものであると再認識しましたし、P.L.Sで過ごした経験は、自分のレジリエンス強化に繋がっていると確信しています。