「寄席文字(よせもじ)」という文字があります。「笑点」の字を思い浮かべていただくとイメージしやすいです。

私、偶然に36年前に寄席文字を書いているシーンを直に見る機会があり(書いていたのは寄席文字を確立した橘右近師匠でした)、粋なデザインの文字だなあ、と心の片隅に残っていて…。

1回の授業で体験できる寄席文字の講座があるのを発見し、夏休みを利用して参加してみました。otonamiの橘さつき先生の講座です。

開始時間より早めに到着したので、集合場所のある四谷三丁目界隈を散策。

夜になったら雰囲気があるんだろうなあ、と想像しながら真夏の強烈な陽光照り付ける午前中にレトロな建物が連なる細い路地を歩いていると、なぜここに突然階段があるの?とぽっかりと下に続く階段に遭遇。降りてみると突如、池が出現。小さな石橋が渡され小さな稲荷が祀られ。池中の岩の上でカメが甲羅干し中。鯉が数匹、じゃばっと水音を立て。不思議な時間と空間に招かれた感覚に陥りました。策の池(むちのいけ)という名前の史跡とのこと。四谷三丁目は地形マニアには有名な地域のようです。

さて、寄席文字の講座では、中学生以来の筆と墨汁に再会しつつ、縦線横線や漢数字を書く練習をしたあと、好きな漢字、一文字を書くことが出来ます。他の参加者の方がご自分の名前に入っている一字をリクエストする中、私は「翔」にします♪とリクエスト。「ショウ」と言うだけでは特定できない様子だったので「ヒショウのショウです。」「・・・・」「サクライショウのショウです」「ああ(合点)」というやりとりが交わされ。(ショウといえば…さすがの認知度ですサクライショウ。)先生が「翔」の寄席文字のお手本を書いてくれました。

寄席文字は白い部分を極力減らして黒い部分で埋める字。黒い部分=黒字=大入りと、縁起を担いでいます。白い部分をつぶすために文字のデザインがアレンジされることもあって(漢字の書き順も変わる)、ちょっとレタリングをつくる感覚に似ています。お手本に従って書き上げた寄席文字「翔」は参加者の方からかっこいいですね~と声かけいただき。丸みを帯びそうなイメージの寄席文字だったのですが、シャープな字なんだな、翔って。と改めて思いました。翔ちゃんの大入りを願って。