一学期中は大きな問題もなく夏休みを迎えた


去年と同じ鳶の手伝いでバイトとなり、体はきつかったが、その歳の目的地である神津島を思い巡らして頑張った


二週間ほどのバイトであったが大人に混じって同じ仕事をする中に、大変さも感じていたが、大人になんか負けるものかという意地もあってか、それ程の足手まといにはならなかったと思う


無事にバイトを終えていよいよ出発当日となった


集合場所で久しぶりに顔を合わせた皆は、これから島に向かうというのにすでに真っ黒な顔をしていた


竹芝桟橋に到着すると昨年同様、若者たちでごった返していた

そんな雰囲気と昨年の出来事とダブって少し興奮ぎみだった


その年は台風もなく穏やかな波であった

乗船するすると私たちは去年の反省から甲板を選ばず、真直ぐ2階の二等に陣取った


船が出港すると海が見たくてデッキに出ると、それぞれ会話もなく静かに海を見つめていた、船は揺れもなくスムースに白い波頭を上げながら真直ぐに進んだ


昨年のような横揺れはまったくなく、軽快だった

そんな中、静かにだまって海を見ていた私たち其々はきっと現状の悩みや将来への不安などを抱え沈黙にならざる終えなかったのだろう


ことに私は家庭問題が大きかった、初恋の終わりも体験した、頻繁に起こる通学途中の電車でのカクレンボ、友人との別離もあった人の悲哀も感じてしまった


何かもの悲しい心境になっていた事は事実だった、意識としてはすこし冷めていたようだ

しばらく物憂げな気持ちで海を眺めていたが、少し眠ることにして二等に戻った


どれほど眠ったか、わずかなものだったと思う、回りのざわつきで目が覚めると窓越しに、島が見えた