↑youtube(動画バージョン)

50日前までは実家にいました。
祖母は元気に笑い自分で歩行器を使い家の中を歩き回ることができていました。
入院したのはトイレに行けなくなったからです。
最初は近所の8人部屋の末期患者が入る部屋に入れられてしまい
常に「うー…」とか「苦しい~…」っていう叫びが聞こえる地獄のような部屋でした。
姉が「心のケアセンター」を予約していたので5日ほどでそちらのケア病院に移り
1か月間ほどは静かな入院生活を送っていました。
お父さんも姉も相変わらずでしたが、あとで分かったのは
私の前でだけ、お父さんが泣いたこと。
ご臨終になる直前に私をアパートまで迎えにきて、泣いていた。
姉はメールで「だんだん動けなくなる婆ちゃんを見て帰る時に毎回泣いてるわよバカ」って
教えてくれました。
私も婆ちゃんが会話可能な時は一緒に歌ったり「ひ孫を見せてあげられなくてごめんねー」とか
一緒にビデオとろうねって楽しくやっていました。
でも…
最後の10日前になると婆ちゃんのテンションがいきなり高くなり
朝から夜までずっとしゃべりっぱなし。
目が開きっぱなし。
顔がキラキラしてたんです。
皆は喜んでいましたが…
私は…ああ、お迎えが近いなと思いました。この後ガクッっとくるな…って。
それからズルズルと状態が悪くなり、重力に負けた口の肉が閉まらず
歯が骸骨のようにむき出し状態。
歯茎は真っ黒
喉は常に赤く腫れていて痛そうでした。
私はミカンの缶詰の汁を飲ませました。
「おいしい~~~ぃ」って泣きそうに喜んでいたのを覚えています。
お婆ちゃんの大好物で「飲み込めそうなもの」を考えて
もずく酢、里芋を煮た汁、それらを持っていきましたが
一日目にミカンをあげて「もうお腹いっぱいだよ~」っていったので
「じゃあ残りは看護婦さんに食べさせてもらってね」と言い残して返しました。
お婆ちゃんはいつでも笑っています。
でも、私は誰もいない部屋でお婆ちゃんを撮影しました。
死が目の前に迫った人の状態はどんななのか
その心はどうなのか。
それを今の若者に伝えるために。
これから婆ちゃんみたいな状態になろうとしてる世代へ送るために。
本人の許可はとりました。
写真は亡くなる5日前の状態です。
点滴の副作用で吐き気が止まらないのでお皿が横に常備してあります。
私は祖母が亡くなると同時に病室のドアを開けたので
どのように苦しんだのか見ていませんが
親族に聴いた話だと、肩で息をしていて、徐々に弱くなって
口だけで息を吸おうと頑張っていたが、それも弱くなって
目はトロンとあけたまま、動かなくなった。と。
私はすぐにベッドにのりあげ、お婆ちゃんの心音を聴こうとしました。
・・・・・・・・・・・・・
何もきこえない。
体はまだ温かい。
腕の脈拍・・・・・・・・・・・・・感じない。
でも温かいんだよ…
目が開いてるんだよ…
皆泣いてないで状況の説明してよ!!!
「お婆ちゃん…聞こえる?」
いつもなら頭を縦に振って反応してくれましたが
反応してくれませんでした。
看護婦さんがやってきて目の瞳孔、脈をみて「お疲れさまね…」って小さく言ってました。
私の最後の母親が死にました。
私の産みの親は「本当の母親」私が22才で永眠
私の病んでいた時の親は「近所のおばさん」私が30才で突然死
私の料理と子供時代を支えた親は「お婆ちゃん」私が32歳で永眠
両親とも共働きだったので、近所のおばさんと祖母にはよくしてもらいました。
でも私は薄情なのか…
涙が出るのは…
1年先だったり10年先だったりします。
でもお婆ちゃんが入院している時にだけは何度も泣きました。
ベッドの隣にいっしょに寝転んで、一緒に演歌を歌って泣きました。
今、街に「村」という集落がない。
一人の村人が死ねば村人全員が参列にくる。
「死を隠さない」それが「村」だった。
いまではどうだ。
隠れてコソコソと葬儀をする。
10代、これから生まれてくる子供さんたちよ。
こういう人がこれから毎日のようにくるからな。
見ておいてほしい。
婆ちゃんは91歳だったけど、死ぬ5日前に「不安ある?」って聞いたら「うん」って
うなずいたんだよ。
何歳だろうと死ぬ前は不安なんだ。
孤独死なんてさせないであげてほしい。
施設にいれればいいやなんて思わないでほしい。
婆ちゃんの一番つらいこと、なあに?って聞いたら
「暇なことが一番いややねぇ」っていってた。
食べることもできず
誰の役にも立てず
歩けず
話し相手もおらず
テレビも速すぎて意味がわからん
目も疲れる
心と心のやりとりを欲してるんだ。
もしボランティア精神があるならば
コンビニで募金箱にいれてもいいけど
できれば近所の病院の4階より上の階にいってほしい。
そこは末期癌の患者の階層だから。
死を待つだけの人の階層。
話相手になってあげてほしい。
暇で友達と遊ぼうかなーとか、カラオケで時間潰すかーっていうときがあったら
一度、一人でいい…覗いてほしい。
病院に入っていくことをだれも咎めることはしない。
看護婦もなにもいわない。
怖くない。
「人間の最後」という「真実」を見てきてあげてほしい…
のちほど永眠5日前の婆ちゃんの動画をyoutubeにあげます。
アドレスを貼ったら更新します。

