「十年勤めた私の言うことを,ぺいぺいの新人が聞かない。
ここはひとつ,権限のある社長の奥様がびしっと言って欲しい。」
で,奥様に電話を入れた乙と丙。
結果,現場を目の当たりにした奥様によって,
乙と丙の姿勢はことごとく否定をされました。
その一つの乙による発注制限は,
奥様から再開の指示があったということで,
私たちを誤魔化せたと思っているようですが,
乙の自尊心は大きく傷付けられてしまいました。
何を思ったのか,乙は前年の仕入れ数を書き出し,
他の商品全般に亘っての在庫に制限を加え始めました。
具体的に数字を出すのではなく,
だらだらと商品名と仕入れ数を書き出し,
その下には大きな赤い文字で,
「在庫を抱えないように気をつけること,ビックリマーク。」
無駄に前年の伝票をめくり,書き出す作業に時間を割いているのです。
『去年のことは私が一番解っているのよ。』
仕事ができない人間の典型です。
去年の仕入れなんて,伝票を見れば分かります。
本社に聞けば一発で弾き出してくれるはずです。
それでも数字を出して指示するのなら多少は許せます。
数字が要ることに数字を出さずに指示をする。
乙には数字を出せるほどの洞察力はありません。
責任は取りたくないけど仕切りたいだけです。
大人の,しかも半世紀以上人生経験を積んだ女性が,
同じ年代の女性に赤文字で指示をすること自体,人として失格です。
それさえも解らない人間なのです。
この張り紙も,いずれ奥様の目に触れることでしょう。
私たちは,ただ乙と丙のやりたいようにやらせておくだけです。
いわゆる「泳がせる」ってやつですね。