ドイツ元首相だったヘルムート·シュミット氏がこのような話をしたことがある。



「危機の時に人柄があらわれる。」



ドイツの心理学者アンドレア·ウッチは、成功した人々の最も重要な特徴として、「失敗後の行動力」を挙げた。 つまり、失敗した後、どのような行動を見せるかだ。 彼によると、まだ成功していない人は逆境に直面すると苦しみ、甚だしくは恨む反面、行動力の高い人は座り込まずに素早く新しい目標に向かって進む。





人生の主導性を決定する「統制位置」


ここでびっくり質問を一つ。

皆さんはミスしたり失敗したとき、主にどんな反応を見せる?

自責することもあり、他人のせいにすることもあり、あるいは冷徹に何が間違っているのかを分析することもできる。



状況によって異なるが、人によって自分だけの主な反応がある。 私は以前よく自分を責めたものだ。 今は自責の程度が顕著に減ったが、10代~20代には自責が激しく自らを非難する強度が非常に強かった。 このような個人の反応性は「統制位置」がどこにあるかによって変わる。



では、「統制位置(locus of control)」とは何か。



統制位置は心理的用語で、どんなことが起きた原因を外部から探すのか内部から探すのかによって大きく「外的統制」と「内的統制」に分かれる。 統制位置によって状況や仕事に対して自分がどれだけの統制力を持っているのかを悟る能力も変わるが、結果的に人生を主導する力も変わる。



外的統制が強い人々は外的要因が自分の運命を決定すると信じる傾向がある。 成功と失敗が全て外部要因によって決定されるため、仕事がうまくいけば問題ないが、仕事がうまくいかないと社会や状況、他人を恨む「他人のせい」をすることになる。 したがって、人生を主導したり変化を作り出す力が弱い。



反面、内的統制が強い人は自分の行動が自分の運命を決定すると考える。 成功と失敗はどちらも内部要因によって決まるので、自分の人生に責任を持とうとする。 うまくいけば自分のおかげだが、うまくいけば自責や自己非難の強度が高い。 自らの責任に回すだけに変わることができ、主導する力も強い。



例えば、面接で落ちたとしてみよう。 外部統制の強い人は面接官が公正ではなかったあるいは、システムが間違っていると考える傾向が大きい。 反面、内的統制が強い人は私が準備が不十分でうまくいかなかったと考える傾向が大きい。 試験成績がよい場合も同様だ。 内的統制型は私が熱心にしたおかげだと思って胸がいっぱいだが、外的統制型は先生がたくさん手伝ってくれたそれか運が良かったと思う。



米国の心理学者ジュリアン·ロータは、内的統制型がより健康な心理状態を持っていると言うが、内的統制型の心の筋肉がさらに発達していると見るためだ。



実際、統制位置がどこにあっても、物事がうまくいけば問題になることはない。 問題は物事がうまくいかない時だ。 外的統制が強い人は人のせいにしたり恨んだりしやすく、これが極端に発現すれば殺人、放火、強盗のような犯罪につながりかねない。 一方、内的統制が強い人は自分のせいにしやすいが、極端になると激しいうつ病を経験したり自殺に至ることになる。 すなわち、内的統制であれ外的統制であれ、極端に突き進めば、どちらも健康ではない。



じゃあ、どうすればいいんだろう?



内部と外部の両方を見る


物事がうまくいかない時は、何が原因なのか多様な要素を入れてみる必要がある。 無数の要素が介入しているため、外部と内部を一緒に問い詰めてみなければならない。

 

まず、外部から原因を探す必要がある。 当時の状況がどうだったのか、関連した人がいたのかを調べる。 そうせざるを得なかった状況的要因があったとすれば、それは何だったのか? もしかして他の人の影響や彼の性格のために発生したのではないだろうか? 私が防げる部分だったのか、それとも仕方なかったのか?



外部から十分に原因が見つかったなら、今度は内部に視線を向ける。 私が持っている性格や気質的側面が作用した部分はなかったのか? その状況で私が他にできる行動があったのか? 私があまりにも無知だったり欲張ったりはしなかったか?



私の統制位置がどこにあっても、状況に対する原因を分析する時は外部と内部の両方を考慮しなければならない。 そうしてこそ、どちらか一方に偏らない健康な思考ができ、これを通じてより賢明な解決策を引き出すことができる。 外部と内部の状況を把握する過程を考えだけでなく、文章で書けばはるかに効果的だ。 考えさえすれば考えに閉じ込められやすいが、文で書けば私の考えを距離を置いて眺めることができるので、もう少し客観的に見ることができる。



本当に成熟した人は誰も非難しない。 他人のせいにすることも、だからといって自分を非難することもない。

その代わり、冷静に現実認識をし、解決策を見出す。 それで次に同じことを繰り返さないように備える。 どんな状況でも非難は役に立たない。 非難と恨みによって怒り、挫折感、失望感が深まるだけで、これはむしろ進むことを遮るだけだ。