以前勤務していたときに受け持っていた患者さんが退院後、詩吟の発表会に出たことをブロ友さんがアップしていた。

退院後の元気な姿を見ることって少ないから、大好きな詩吟がまた復活できてよかったな、と思えたのよね。

元々の疾患は脳挫傷、既往に糖尿病があり、リハビリ目的で転院してきたけど、糖尿病のコントロールがつかず、意識レベルも下がって急性期の病院に搬送。

それが、無事症状も改善して、リハビリができるようになり2回目の転院。

でも、この患者さんが頑固親父でなっかなか職員の言うことを聞いてくれず、糖尿病でインシュリンもやっていて、食事は食べてくれないし、大変だったな~。

それが退院まで至ったのは奥さんの支えが一番大きかったんだよね。

奥さんが私たちの代わりに患者さんを説得し、少しずつ患者さんも自立できるようになって、歩行で退院した。

それが、無事詩吟の発表会まででれるくらい元気になっていたのが嬉しかったのよ。


今日ね、同じように患者さんを支えている奥さんがいた。

ただし、患者さんの状況は全く真逆だった。

患者さんは意識レベルⅢ-300、全身の浮腫みが激しく、HR150~200、BP39/12まで低下。ドパミンを6ml/hから開始。

かろうじて、O2マスクで6l SAT98%保てていたから、呼吸は出来ていたけど、かなり厳しい状況だった。

奥さんがね、私たちに

「他に何か出来ることはないんですか?」

って聞くのよね。

主治医との面談で奥さんもナチュラルコースでと納得したんだけど、生き返ってもらいたかったんだよね。

最後まで、

「食事させてあげたい」

って奥さん話していて、PEG造設しなかった。


口から食べることって生きていくうえで大切なことなんだよね。

意識レベルが落ちてきても、家族は最後まで「口から食べさせてあげたい」って思うんだよね。

「奥さんがそばについていることが今患者さんに出来ることです」

そう奥さんに声をかけるのが精一杯だった。


リリーちゃん、ありがとう。

私も口から食べることの大切さを分かってきたような気がするよ。

患者さんも口から食べたいと思うように、家族もそうなれるよう願っている。


元気に退院する患者さんもいれば、厳しい状況の患者さんもいるけど、家族の支えはどの患者さんでも変わらないんだな、と気づかされた一日でした。