90年代のパンク・ムーブメント再来とともに颯爽と現れた
アメリカのハードコアパンクバンド、ランシド。
ブームの衰退、そして時代の流れとともに
今ではシーンで注目されることは少なくなってきてしまったが
その強烈な音楽性、そして過激なメッセージ性は
パンクロック特有の、粗野で凶暴なエネルギーに満ち溢れていて
発表から30年近くが経過した2021年現在でも
そのインパクトは全く色褪せていない。
彼らのデビューアルバムとなった1993年発表の本作、
最初から最後まで音速レベルの超絶スピードR&Rが満載で
音楽的には、以前紹介した70年代の三大パンクバンドのひとつである
The Damned の流れをくむ。
メロディもどこか親しみやすく、当時の若者を熱狂させたのも頷ける。
俺も当時、立ち寄ったCDショップでこのアルバムの曲が流れており
そのサウンドに衝撃を受け、速買いした。
曲のテンポが速ければ、当然演奏スピードも速く
本作はギターもベースもとにかく速い。
すでに絶版となってしまったが本作のバンド・スコアが
シンコーミュージックから発売されており
ギタリストのはしくれだった俺は、本作収録の曲のコピーを試みるも
あまりの速さに断念したという、ほろ苦い経験がある。
コードでいうとA5やE5など、3rdを抜いた和音(いわゆるパワーコード)が
多く使われている。
ランシドのフロントマンでボーカル&ギターのティム・アームストロングは
かつてダンス・ホール・クラッシャーズに在籍していた経歴があり
その影響を含め多彩な音楽性を反映した彼らの3rdアルバム
『...And out come the wolves』も必聴作品。
尚、本作はアメリカの名門インディレーベルである
エピタフ・レコードからリリースされており、
同レーベルには Offspring や NoFXなどの著名なパンクバンドが
所属していたことでも知られる。