ジミー・スミス、ベイビー・フェイス・ウィレットに継ぐ

 

ブルーノート第3のオルガン・プレイヤーとしてデビューした

 

フレディ・ローチ。

 

巷で評価されている通り、

 

彼はゴスペルのフィーリングを取り入れたソウル・ジャズを

 

持ち味としており、

 

1963年に発表された、彼自身の3rdアルバムとなる本作は

 

ゴスペル色の濃いソウル・ジャズとして、違和感なく楽しめる。

 

 

 

もっとも、"ゴスペル・フィーリング"とはどんなフィーリングなのか

 

ゴスペル・ミュージックを実際に聴いてみても

 

俺にはどうもピンと来ないのだが (笑)

 

 

 

前作「Mo' Greens Please」はかなりポップな作りで、音も軽く

 

個人的には好きだが、

 

ジャズ・ファンにとってはやや物足りない内容だったかもしれない。

 

その点、本作は違う。

 

ローチ屈指の名盤とも言うべき作品で

 

オルガン・トリオの曲と、トリオ+二管で録音した曲が

 

それぞれ収録されている。

 

その二管はブルー・ミッチェル(tp)とハンク・モブレイ(ts)という

 

豪華な顔ぶれ。

 

 

 

チェスの駒を動かすローチが映ったカバー・ジャケットがカッコイイのだが

 

よく見るとこの駒、作り物とは思えないほど精巧にできており

 

まるで駒に封じ込められた生身の人間のようにも見えてしまう。

 

 

 

その不気味な余韻が冷めやらないまま始まる

 

ジョージ・ガーシュウィン原曲の「It Ain't Necessarily So」。

 

まるでホラー映画のワンシーンを彷彿とさせるこの曲は

 

トリオで演奏されたワルツで、

 

ローチの冷たいオルガンの音色とエディ・ライトのカッティングが

 

聴き手の恐怖心をジワジワと煽る。

 

 

 

続く「When Malindy Sings」はアップテンポのブルースで

 

音数は少ないものの、切れ味鋭いアドリブを聴かせる

 

ブルー・ミッチェルのトランペットが印象的。

 

とろけるような美しいメロディのバラード「Pastel」では

 

エディ・ライトがギター・ソロで活躍する。

 

 

 

充実した演奏を聴かせてくれる、クオリティの高いアルバムだと思う。

 

 


ローチは1960年代なかばにプレステイッジ・レーベルに移籍し

 

数枚のリーダー作を発表。

 

俺はこの時期の作品群を聴いたことがないのだが

 

一般的には、やはりブルーノート時代のほうが

 

評価が高いようだ。

 

 

 

短い活動期間の中で確かな足跡を残したローチだが、

 

1970年に惜しまれつつ音楽活動から引退した。