鳥居を通って先ず、境内を見渡す。まぁ、一見普通の神社ですよね。でも、よーく、見て下さい。普通の神社と違うところが見えませんか？何か変わったところありませんか？
ピンポーン！正解！って、見えないか（笑）。実は、こちら、狛犬像ならぬ、狛鼠（ねずみ）像なんですね。これだけでも、結構、変わっていると言えば、変わっているのですが、更に、その像の足元をみると、あー、動く！ということで、こちら回転式の狛鼠像になるんです。
実は、こちら独特の祈願法を採用しておりまして、こちらの狛鼠像を回してから参拝するというのが、流儀なんですね。その採択された理由は分かりませんが、何故、鼠が神使（しんし）として祀られているのかは、ご祭神をみれば分かります。ご祭神は、大己貴命（オオナムチ）こと、大国主命（オオクニヌシ）が祀られているんですね。何故、オオナムチと鼠が関係あるかと言うと、古事記をちょっとかじったことのある方なら分かりますね。ちょっと、神社人で上げている古事記のイラストをはさんでみる（そう言えば、続きの話、UPできていないなぁ、こっちも早く進めないと）
オオナムチは、八十神（ヤソガミ）という兄神たちに追われ、根の堅州国というあの世の一歩手前の世界に迷い込みます。そこで、須勢理毘売命（スセリビメ）という姫神と出会い、父、素戔男尊（スサノヲ）から幾つかの試練を言い渡されるのですが、その内のひとつ、火のついた焼け野原から救ってくれたのが、鼠（ネズミ）なんですね。詳細は、神社人の古事記解説をご参照下さい。ということで、オオナムチ、オオクニヌシと鼠という組み合わせは案外みるもんなんです。台座が回るというのはないですけどね。
また、何故、オオナムチが祀られているかというと、こちら、出雲大社からご分霊を勧請（かんじょう）、つまり、引き寄せて来ているからです。出雲大社は、まさにオオクニヌシで有名ですからね。厳密には、こちらは、出雲大社系列の神社ということになるのです。そして、オオクニヌシと来れば、もう一つ忘れてはならない存在が、七福神の大黒様（だいこくさま）ということで、ほら、境内を見渡すとやっぱりいらっしゃる、ということで、大黒様の像もご鎮座しております。
まぁ、ダジャレ的な要素で結びついている訳ですが（笑）、オオナムチ、オオクニヌシが祀られている神社には、大黒様の像を見ることがありますが、これは、そうした神仏習合の名残ということになります。そう言えば、回転式の狛犬像、もう一カ所ありましたね。こちらは、新潟県新潟市中央区にあります湊稲荷神社（みなといなりじんじゃ）になりますが、こちらも結構、パンチの効いた要素があって、中々面白いですよ。
で、こちらの場合は、狛犬像が回せるのですが、こちらは杉山神社の狛鼠像と多少、ルールが異なりまして、男性と女性で回す狛犬が異なり、回転させた後に、頭に手をかざし祈願するという、全体の参拝の流れの中で、狛鼠像を回す杉山神社とは、若干異なります。こちらは、元々は、幕末の頃に、遊ぶ船乗り達の相手をした女性が名残惜しんで、船が出ないように願をかけたことに始まると言われておりますが、結構、悲しいお話ですよね。
とまぁ、やはり神社にもいろいろあるということで、他にもいろいろあるだろうなぁと思いながら、ご機会があれば、どちらも参拝してみて下さい。
★戸部杉山神社
http://jinjajin.jp/modules/newdb/detail.php?id=6386
★湊稲荷神社
http://jinjajin.jp/modules/newdb/detail.php?id=901
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