『血の轍（12～17巻）』を読む。

12巻以降は、変わり果てた母親を目の前に、内省の旅に出るという展開。

たどり着いた先は、たぶんハッピーエンド。

「親子」というフィルターを通すから、どこか悲しさがあるのだけど、これを「他人」の関係に置き換えたら、乗り越えたとか、相手への思いが昇華したとなる。

親子であれど結局は他者同士で、赤の他人との関係よりも親子関係を良好に築くほうが難しい。親と子は、世代も違えば、生きている時代の価値観も違う。そこに加えて個人の考え方や人生観も違う。そんな相反するような者同士なのだから食い違って当然だ。

それなのに、「親子だから」とか、「血がつながっているのだから」という呪いの言葉で「相容れなければいけない」「許さないといけない」と思い込ませる。そうじゃなければ罰せられるような気にさえなる。

これが赤の他人同士の話ならどうか？

誰もが、「合わないなら離れればいい」と言うだろう。

もちろんそこには、「納得」が前提になるけど。

主人公は、納得のもと、母親と再度対峙し、自分の傷と向き合い、本音を認めた。

そして平穏な日々を手に入れ、最後のシーンは昇華の象徴。

だから、ハッピーエンド。