月食はどうして起きるのか? | 今日の月はどんな月? 月百景 Studio観月工房 Blog

月食はどうして起きるのか?

12月10日の皆既月食を前に、月食についての「やや詳しい解説」(笑)を。

少し長い記事ですがご了承ください。σ(^_^;)



まず、もっとも基本的な月食のメカニズム。

太陽と月を結んだ直線上にちょうど地球が入り、月に届く太陽光を地球がさえぎった時に月食が起こります。

つまり、月が地球の影に入ってしまう訳ですね。

この地球の影に月が入った状態を総称して「月食」と呼びます。



今日の月はどんな月?



その地球の影は、影の濃い部分と薄い部分ができます。

地球が太陽を完全に隠している部分は濃い影となり、これを「本影」と言います。

太陽を部分的に隠している薄い影の部分は、「半影」と言います。



この「本影」と「半影」にどのように月が入るかで、月食の種類が分けられます。

○半影部分だけに月が入る「半影月食」

○本影部分に月の一部が入る「部分月食」

○本影部分に月が完全に入る「皆既月食」



今日の月はどんな月?



と、ここまでが月食の基礎知識です。

さて、では月食についてもう少し踏み込んでみましょう。



月食が起きるのは必ず「満月」の時です。

―どうしてでしょうか?



下図の「月の位置と月相」を見てください。

太陽と地球、そして月が、始めの「月食説明図①」と同じ位置関係になるのは満月の時だけです。



$今日の月はどんな月?



ご覧のとおり、満月の時以外では、月が地球の影に入るということは起こりません。

―それなら、満月のたびに月食が起きてもおかしくないのでは?



そうですよね。

でも月食が起きるのは、多い年でも年に3回、そして月食のない年もあります。

どうして満月のたびに月食にならないのか?

その答えは、月の軌道の傾きにあります。



今日の月はどんな月?



月の公転軌道は、地球の公転軌道に対して約5度傾いています。

この傾きによって、太陽―地球―月が直線上に並ぶタイミングが少なくなっているんです。

―では、太陽―地球―月が直線上に並ぶのは、どのような時なのでしょうか?



さあ、いよいよ核心部分ですね~

上図では太陽を中心にして月の傾きを見ましたが、今度は地球を中心にして見てみます。

天文学では、天体の方向を表すために地球から見上げた空を球体に見立てることがあります。

これを「天球」と呼びます。

その天球上における太陽の見かけの通り道を、「黄道(こうどう、おうどう)」と言います。

同様に月の見かけの通り道を「白道(はくどう)」と言います。

「白道」は「黄道」に対して最大で約5度傾いています。

そして、「黄道」と「白道」が交差する点が2点あり、これを「月の交点」と呼びます。

この「月の交点」では、「黄道」と「白道」の角度の差がなくなります。

つまり・・・



そうです。

太陽と月が、それぞれ2つある「月の交点」の付近に来た時に月食が起こります。

下図を見てください。



$今日の月はどんな月?



上から見て太陽―地球―月が直線上に並んでいても、「月の交点」付近以外のところでは、横から見たときにズレがあります。

このズレによって月は地球の影には入らず、太陽光を反射して満月として見えます。

一方「月の交点」付近では、上から見ても横から見ても、太陽―地球―月がほぼ直線上に並ぶことになるので、月が地球の影に入り「月食」になるのです。

「月の交点」付近でしか「月食」は起こらないので、その機会が少ないんですね。

そして、「月の交点」は「歳差」という現象により黄道上を約18.6年周期で移動しているので、「月食」の発生が不規則で、より機会が少なくなっているんです。



以上が、月食についての「やや詳しい解説」です(笑)

「月食」の仕組み、少しはご理解いただける内容になっていますでしょうか?(;´▽`A``



先日の記事で「11年ぶりの好条件と言われる」と書きました。

もしも今回の皆既月食を見逃してしまったら、ほぼ同条件で見られる可能性がある次の皆既月食は、2018年1月31日まで待たなければなりません。

月食の仕組みを知った上で、できるだけ多くの人に今回の皆既月食を楽しんでいただけたらと思います。