これまでの全員参加から、3割の抽出方式になった全国学力テストが20日、小学6年と中学3年を対象に国語、算数・数学で実施される。

 新政権は、県ごとの学力水準が把握できれば十分と抽出にしたが、実際には抽出校を大きく上回る「希望参加校」が殺到。こうした学校は国費で採点や集計をしてもらえないため、自治体の支援がない学校では、採点に教師や教育委員会職員があたったり、テストの実施をあきらめたりする学校もでている。

 文部科学省によると、今回は全小中の73・5%にあたる2万3875校、約162万人が参加するが、このうち国費で実施する抽出校は9979校。一方、自主的に実施する希望参加校は1万3896校で、秋田、石川、福岡など13県は全公立校で行い、費用も県や市町村が負担するところも多い。しかし、採点・集計の業者委託費用などの支援がない学校では自力で採点するしかない。

 希望参加する東京都内の区立中では、約200人分の採点に2教科の教師8人が手分けしてあたるが、テストには基礎的な「A問題」と、応用力を問う「B問題」の計4種類がある。2~3日のまとまった時間が必要で、夏休みまで手をつけられないという。「苦手分野を把握できる貴重な機会だが、採点の手間は大変だ」と話す校長(58)は、「国が採点するのが一番。学校ごとの判断では採点にばらつきがでかねない」と指摘した。

 抽出方式の問題点の一つは、個々の学校の実力と全国の水準との比較が出来なくなることだ。希望参加する大阪府内の公立小では校長以下教師総動員で採点し、正答率を全国平均などと比較する分析ソフトの導入も考えているという。校長(55)は「子供の生活状況と学力の関係もみたいが、学校レベルで正確に分析できるだろうか」と不安を漏らす。

 大阪府豊中市では、現場の教師の負担が増えるのは良くないとして、教育委員会の職員が採点する。当初、抽出校以外参加しない予定だったが、大阪府内の9割以上の公立校が参加することが分かって急きょ「全校参加」にかじを切った。市教委の担当者は「豊中の子供だけテストの機会を奪われたと批判されてはいけない。採点に時間がかかることは覚悟している」と打ち明けた。

 静岡県東伊豆町の熱川中では、テスト問題は入手するが20日にはテストを行わず、今後教材として使う予定だ。亀山誠彦校長(51)は「授業時間も足りないのに採点・集計まで手が回らない。ただ、今求められている学力観を知る上で、テスト問題はとても参考になる。子供たちに解かせて課題を探ってみたい」と話した。

 学力テストに詳しい田中耕治・京都大教授(教育方法学)は「希望参加校が独自に採点する場合は、文部科学省が示す正答例などを基に教師同士で十分話し合い、採点の基準を学校単位でつくることが大切になる」と話している。

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