触れて、言葉はいらない -2ページ目

いつかのことⅢ-②

「迎えに来てくれてありがとう」
「結構近かった」
「新横浜まで戻る?」
「今日あんま時間無いんだよね?」
「うん」
「この辺あんまり何もないみたいで」
「ここどうかな?」
「じゃあ行ってみようか」

ナビに住所を入れた

「子供、できたの?」
「うん…ごめんね…その、これ下ろそうと思ったんだけど…」
「おめでとう」
「うーん」
「男の子?」
「女の子」
「いくつ?」
「1歳」
「かわいい?」
「うーん、まぁ、まあまあ、それなりに」
「いいな」
「うーん…その話したくない」
「そっか…パパかぁ…」

狭い住宅街を走る

「俺たち会うのひさしぶりだよな」
「そうだっけ」
「そうだよ。もう2年くらい会って無かった」
「そうだっけ?痩せた?」
「うーん、太ったよ。この辺ぷよぷよだし」
「そうだねー」

運転席の彼のお腹をつつく

「旦那さん、どう?」
「具合悪くてね」
「なんか色々大変だな」
「出来ることは全てやってあげたいの」
「本当大変だな」

一方通行の横道に入る
稲荷神社の向かいにひっそりとあるホテルに着いた

「やべー車入れにくい」
「頑張って」
「この車長いからなぁ」
「こっち大丈夫だよー」
「よしオッケー」

車を降りると彼が手を引いてくれた

「行こう」
「うん」

日曜日の朝
小さなゲートを潜ると、やっと二人になれた気がした





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いつかのことⅢ-①

逢瀬

それはほんとうに短時間で

見慣れた車が駅前のドトールの前に停まった

「もしもし?着いたよ!」
「バックミラー見て!」

車に向かって手を振った

「あ、わかった」
「なんか飲む?」
「大丈夫」

ひさしぶりの横顔
はにかんだ笑顔
照れ隠しの強がりも
全部懐かしく感じた

自慢してた車
少しだけ違うのは
後部座席のチャイルドシートだった



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今日は誰もいないから

今日は誰もいないから、うちに来てと甘える彼が
とてもかわいいと思った

今日は早く帰れそうだから…なんて
夫婦じゃ、ないんだから