僕の大阪出張時の定宿は、長らく本町の東横インだった。
ビジネスホテルのお決まりである、必要最低限の広さながらも、どうせ寝るだけだし、使い慣れた勝手知ったる空間は、それはそれで悪くなかったのよ。
特に本町の東横インでは、今の支配人になってからは廃止となったが、以前はルームキーの紙ケースに、スタッフの手書きメッセージが添えられたりして、これが、ちょっとした癒しでもあった。
「ごゆっくりどうぞ」以外のメッセージやイラストもあったりして、こういう、ちょっとした心使いって、なかなかできないよね。
ただ、そんなお気に入りの東横インも、ご多分に漏れず、昨今のオーバーツーリズムの波で宿泊料が高騰し、もはや本町も「気軽に泊まれる」金額ではなくなってしまったのよ。
京都だけではなく、大阪も外国人には大人気で、戎橋なんて、週末はまるで初詣の参道のような混み具合。
「あれ、渡航自粛じゃなかったっけ?」と首を傾げるほど、中国人の観光客も大勢いたよ。
まあ、仮に総理の「台湾有事」問題で中国人観光客が減ったとしても、その分、別の国の方々で埋まるから、結局は、何処へ行っても人、人、人ってことになるのだろう。
こうして、このインバウンド需要の荒波に押し流され、泣く泣く安宿探しに奔走した結果、今回は四ツ橋交差点にある「スマイルホテル」を選択。
早割とはいえ9,000円で予約できてラッキーだったけど、これが今回の顛末の始まりよ。
ていうか、9,000円を「安い!」と感じる自分の感覚に、驚愕なんだけどね。
さて、この「スマイルホテル」だけど、今回は10泊することになるも、ネット予約が最大9泊までしか取れないシステムから、9泊の申し込み後にもう1泊追加と、2回の予約が必要になったのよ。
まあ、それ自体は別に問題ないんだけど、9泊後、1泊の為に部屋移動するのは面倒なので、チエックイン時に「10泊とも同じ部屋は可能ですか」とフロントに相談をしてみたのさ。
すると返ってきたのが、「その時になってみないと、部屋の空きがないかもしれないので分からない」という、摩訶不思議なご返答。
予約済なのに「空きがないかも」って、なんだそりゃ?。
せめて「その時の状況によりますが、最大限努力します」くらい、言えないものかね。
そして、さらに驚かされたのが、ホテルスタッフの対応。
もちろん、しっかり挨拶される方もいるんだけど、殆どのスタッフさんが、フロント前を通り過ぎても、エレベーターで一緒になっても、挨拶なく無言と、客を徹底的にスルーするのよ。
極めつけは、下へ降りる僕と偶然エレベーターで同乗したスタッフが、1階に着いて扉が開くやいなや、我先にと、僕の前を横切って走り去って行ったのは、マジに驚きだったね。
過去に、ここまで客を透明人間扱いするホテルを見たことがなかったので、ある意味「新しいサービス体験」だったよ。
それと、もう一つ極めつけだったのが、エレベーター前に置かれているアメニティのクオリティ。
ある日、ここにある歯ブラシを使ったら、歯を磨いている最中に、口の中全体に「魚の骨か!?」と思うような異物がザラザラと広がり、思わず咳き込む事態に。
慌てて歯ブラシを口から出すと、なんとブラシの毛が大量に抜けていたのよ。
ビジネスホテルのアメニティなんて、それなりの質なのは承知だけど、ブラシの毛が口の中いっぱいって、ちょっとホラー過ぎ。
もちろん、たまたまハズレを引いたんだろうけど、これは本当にビビったし、正直ちょっと怖かったよ。笑
まあ、ビジネスホテルに過度な期待は求めないし、清潔で、寝られればそれでいいけど、これも宿泊客の大半が外国人客となったことで、サービスも「世界基準」に変わってしまった結果なのかも。
それか、年々モンスタークレーマーが増えたことで、最近はカスハラ定義を告知するサービス業が多くなったけど、業者側もそれを盾にして、客が弱い時代になりつつあるのかもね。
いずれにしても、今回宿泊した「スマイルホテル」。
全然スマイルじゃなかったよ…。笑





























