やはり、凄いのだなあと思えるのは、ファイティングファンタジーというゲームブックのシステムの優秀さであろう。

 いまだにファンを増やし続けている。このゲームの面白いところは、

 1  技術点を6プラスサイコロ一個の出目で決めるという破天荒なゲームバランス
 
 2  デッドエンド、あるいは外れフラグを仕掛けて何回も読者に試行錯誤させる

 この二つにある。

 この緊張感あるシステムが、作品のホラー要素や、探索的な志向を強めているのだ。そして、ゲームブックの面白さの本質というのは、このシステムが全部担ってしまっているのである。

 他に、スティーブ・ジャクソンの多くの試みなどもあるのだろうが、最終的には上のシステムの繰り返しなのである。

 日本でも夥しいゲームブックが出たが、どれもこれも気の抜けたコーラみたいな出来だった。最近では、やけに、いくつもの結果が出るということ、つまり、マルチエンディングなど、が重視されているが、私はこんなことは、本当にどうでも良いことだと思っている。

 これは、丁度、路線バスの旅というシステムに似ていると思う。あれは、蛭子さんと太川さんのやっていたシステムが一番面白いのであって、色々加工してもみんな気の抜けたコーラみたいになってしまうのだ。

 アメリカのハリウッドなどでよく見るが、何でもゴテゴテ足して難しくすれば良いのではなくて、システムの根幹を捉えて、無駄なことは一切しないということが、肝要なのである。

 これは、今のゲームブックにも言えることであって、彼らは色んな御託をクドクド並べて、色んなことをしているが結局、くだらないことにしかならない。

 それよりも原点を見た方が良い。そして、ほんまものの原点は、バッファローキャッスルにあるのだ。このシステムの完成度、自由度は本当に素晴らしい。

 このシステムから、トンネルズアンドトロールズのあの破天荒なソロアドベンチャーというゲームブックの潮流が生まれたのである。

 そして、そこから、ファイティングファンタジーが生まれたのだ。

 そして、超重要人物、デイブ・モーリス氏の登場であるっ!!!日本では、せっかく大注目されていたのに、その時にはそんなに凄いものは作らずに……とは言っても、ゴールデンドラゴンシリーズ、ブラッドソード、どれも地味ではあるものの傑作だろうが……創元推理社が苦しくなってフォローできなくなった辺りから、FABLED  LANDSという、ものすごい作品群を出し始めるのだ。


(なんか数年前にブックオフに並んでいたような気もするけどね)

 ああ、創元推理社が、ドラゴンウォリアーズRPGなどというつまらないTRPGに、リソースを裂かずに、この作品群に気づいていたら……

 ゲームブックの歴史も変わっていたかもしれない。
 
 まあ、それやこれやで、今の日本人は、本当に上の人たちのゲームの作り方をもっともっと研究するべきだと思う。

 でも、それを考えるとやはり、杉本ヨハネ氏という人は目の付け所が違うのだ。上の流れをちゃんと掴んでいると思う。

 とは言っても、作品そんなにやってないけどね。もっと、やらなきゃいけないなあとは思っている。マジで。
 
 あ!あと、勿論、Sゲームブッカーさんも、そこら辺のことをちゃんと知っていると思う。そろそろ、作品やるんで、また紹介してゆきます。