まだシリコンバレーで働き始めて2年ほどしか経っていませんが、高い英語力が必要かというと、そういうわけでもなく、「あった方がいいが、なくてもなんとかやっていける」という感じです。英単語の幾つかは日本でも自然に使われているし、全く触れたことがない言語でもないので、すでに知っている英語で十分生きていけます。行く前までは当然心配ではありましたが、「大阪に転勤を命じられて、全く関西弁わからないけど、そこでやっていけるんかな?」って心配するのと同じくらい取り越し苦労でした。

 

 もちろん英語はできたほうが良いし、勉強するに越したことはありません。生きていくには何よりも専門性が重要(あとビザと車)。英語ができないからといって、シリコンバレーで働くことを諦める必要がないことを伝えたいです。(エンジニアに限ります!)

 

私の英語力はというと、伸びしろしかない発展途上です。(言わずもがな英語でのコミュニケーションは日々苦労している)スピーキング、リスニング力は、テレビ番組の”イッテQ”で芸人の出川さんが話しているレベルに毛が生えた程度。自慢ではないが、それでもなんとか2年近く働けています。彼のように豊かな表現力、卓越したユーモアセンス、圧倒的な対人スキルはないので、外国人とのコミュニケーションスキルで言えばそれ以下です。自虐ネタはこのくらいにして。。

 

じゃあ、なぜそれでもやっていけているか?と疑問に思うでしょう。

理由は以下だと考えています。

 

1、シリコンバレーの人は下手な英語話者に慣れている

 シリコンバレーは世界中から人が集まってきており、英語を第一言語としない人の割合が多いです。そのため、下手な英語でもこちらが何か伝えようとすれば辛抱強く聞こうとしてくれます。また、話していてこっちが「??」な顔をしたら、ゆっくりと簡単な単語で言い換えてくれる人もいます。会話する相手はアメリカ人ではない方が圧倒的に多いです。(インド、中国、韓国出身者が多い印象)相手の話している英語も、発音のクセが強すぎて英語なのかどうかもよくわからないこともありますが、互いに異国の地で苦労した経験があるからか、英語が得意でない人にも理解があります。

 

2、仕事上で重要なのは専門性である

 技術職の仕事は、論より証拠。ものや数値を見せれば相手に伝わります。ホワイトボードに絵を描くだけでも意思疎通できる。そうすれば「どっちが大きいか小さいか(良いか悪いか)」くらいの単語でも十分。筋が通っていて伝えようとしている内容に価値がありそうなら、多少変な英語でも読み取ろうとしてくれます。英語力よりも、技術力、課題解決のアイディアの方が遥かに求められます。 同僚とはもう2年近く一緒に仕事をしていて、最近では”多分こいつはこう言いたいんだろう”と推測してくれるようになっています。

 だいぶ飛躍した例え話にはなりますが、メジャーリーガーに求められるのはアウトを取る能力、ヒットを打つ技量であるのと同様です。もちろん英語ができた方が、チームメイトやコーチ、監督(僕の場合上司)ともっと密に意思疎通できて良いことこの上ないですが、、

 

仕事上での英語は何とかなる。でも、、、

もっとも苦労しているのは同僚とのランチでの会話や雑談です。英語というより、その話題について知っていないとどうにもならない。さらに、会話の瞬発力や返しのユーモアセンスも問われる(気がする)。これらは一朝一夕でどうにもならないですが、アメリカに来る前にもっと勉強しておけばよかった思ったことを紹介します。これらは、同僚と仲良くなるのに非常に有効です。親しい同僚ができれば、何かあった時も聞きやすいし心強いですよ。

 

*日本の歴史とアニメ・漫画

 日本に興味を持っていて話しかけてくれる人は多いですが、大抵は歴史かアニメについての話題を振ってきます。知らないと話が膨らまず、そこで終わってしまいます。これについて、一つエピソードがあります。インド出身の同僚が「進撃の巨人」の大ファンで、どれだけ好きかを熱く語られた後、お前も好きかと聞かれ、「ごめん、あんまり詳しくない。。」と言った時の彼のガッカリした表情は今でも忘れられません。代わりに私が少年時代によく見ていたアニメの話題を振ったら、その作品も好きだったようでこれをきっかけに親しくなりました。

 

*アメリカンフットボール

 アメフトシーズンが始まると、毎週月曜日のランチで話題は日曜の試合のことです。同僚はみんなアメフトをやったこともないし、アメリカに来るまで見たこともないと言っていましたが、ハマっています。熱狂的でない人でも、時事ネタのようにチェックしています。大学生の頃にアメリカに来たという同僚たちに、どんなきっかけで好きになったかを聞いてみました。すると、私と同じように、彼らもクラスメイトのアメフトの話についていけず、会話の輪に入りたくて色々と調べているうちに魅了されてしまったようです。詳しくなくとも、同僚の贔屓のチームの勝敗くらいはチェックしても損はありません。勝った次の日は機嫌が良いので、お願い事がしやすいかも。笑 (阪神ファンだけではなく、アメフトにも通じる??)

 

シリコンバレーで働くのに必要な英語力は、出川さんレベルでもOK、専門性があればあとはなんとかなる!という話でした。(エンジニアに限る?!)