ナカムラクニオの「洋画家の美術史」を読んだ! | とんとん・にっき

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ナカムラクニオの「洋画家の美術史」(光文社新書:2021年1月30日初版1刷発行)を読みました。

 

「洋画家とは」「美術史とは」、深く掘り下げないで軽くなぞっただけ、こんなんでいいのか? 僕に言わせれば、知ってることばかり、聞いたことがあることばかり、の寄せ集めです。僕が知らなかったのは曽宮一念と須田剋太、二人だけです。入門書とはいえ、かなり読者を軽く考えているのかな、と思いました。新書とはいえ1120円、かなり高価です。「新書」という形式がなにかと悪いのは、ここでは問いません。

 

ナカムラクニオさんの主宰するブックカフェ、荻窪の6次元。Takさんの関係で、10年も前のことでしょうか、一度、行ったことがあります。たしか「フェルメール」に関するトークイベントだったと思います。6次元ではなにかと世間受けするイベントを、数々とやっているようです。ノーベル文学賞発表の際には、毎年中継場所となり大騒ぎになります。「ハルキスト」にとっては聖地と呼べる場所、と言われています。雑然としたお店のその雰囲気が、僕にはとても馴染めません。

 

それはさておき、「洋画家の美術史」、美術史を彩る洋画家たち16人の物語です。「それは、日本の近代そのものを象徴する存在か――」とあります。「日本の近代洋画は、オムライスと似ている」、たとえが悪い。  取り上げられた16人の洋画家たちに失礼です。なにおかいわんや、ですよ、これは! しかも、カバーのイラストは自分が描いたもの、取り上げられた作品のなかに、自分の所蔵品をこれでもかというほど載せています。

 

以下、出版社のホームページによる・

 

洋画家の美術史
ナカムラクニオ/著

あちこちの美術館や切手で見たことはあっても、実はよくは知らない「洋画」の世界。「日本の近代洋画はオムライスと似ている。外側は、西洋のオムレツ風。中身は日本的なケチャップご飯だ」と述べる著者が、独自に進化した「和製洋画」の世界を描く。洋画へのあふれる愛を込めて画家たちの波瀾万丈な一生に触れつつ、作品と近代美術史の流れをわかりやすく解説する。

目次
はじめに
近代日本洋画の流れ
第一章 憧れの「舶来絵画」」がやってきた

  高橋由一

  黒田清輝

  藤島武二

  萬鉄五郎
第二章 熟成する「和製洋画」革命

  佐伯祐三

  藤田嗣治

  岸田劉生

  坂本繁二郎
第三章 ニッポン独自の「昭和モダン」

  梅原龍三郎

  長谷川利行

  東郷青児

  熊谷守一
第四章 進化する「日本的フォーヴィスム」

  曽宮一念

  鳥海青児

  須田剋太

  三岸節子
おわりに
日本近代美術史年表


著者紹介:
1971年東京都目黒区生まれ。荻窪「6次元」主宰、アートディレクター。日比谷高校在学中から絵画の発表をはじめ、17歳で初個展。現代美術の作家としても活動し、山形ビエンナーレ等に参加。著書は『人が集まる「つなぎ場」のつくり方』(CCC メディアハウス)、『金継ぎ手帖』『古美術手帖』『チャートで読み解く美術史入門』『モチーフでよみとく美術史入門』『描いてわかる西洋絵画の教科書』(以上、玄光社)など多数。金継ぎ作家としても活動し、アメリカ在の日本画家マコトフジムラと共同で金継ぎの学校「キンツギアカデミー」をロサンゼルスに設立。