損保ジャパン日本興亜美術館で「みんなのレオ・レオーニ展」を観た! | とんとん・にっき

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「みんなのレオ・レオーニ展」チラシ

 

損保ジャパン日本興亜美術館で「みんなのレオ・レオーニ展」を観てきました。観に行ったのは、7月17日のことでした。実はブロガー内覧会の知らせが届いていたのですが、内覧会の日はどうしても外せない用事があり、申し込むことができませんでした。僕はレオ・レオーニについてはまったく知らなかったので、是非ともブロガー内覧会に出席して、レオ・レオーニについての話を聞きたかったのですが…。

 

レオ・レオーニという名前を知らなくても、「スイミー」という絵本を知っている方は多いのではないでしょうか、と図録の「ごあいさつ」にあります。赤い色をしたきょうだいたちの中で、唯一黒い魚の物語「スイミー」は、小学校の教科書に掲載され、世代を超えて日本全国で親しまれている、という。

 

作者のレオ・レオーニは、オランダ生まれで、グラフィックデザイナーとして活躍した後、絵本に初めて抽象表現を取り入れたという。今回の展覧会、レオの作品は、グラフィックアート、子ども向けの絵本、そしてレオの言う”本物の芸術”の三つの領域で展開されます。テーマは「自然」と「コミュニティー」で、レオの作品の中に繰り返し登場します。

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

chapter  1 レオとアート

chapter  2 自分探し

chapter  3 平和を求めて

chapter  4 リアル?フィクション?

 

トスカーナのレオーニのアトリエ

 

以下、絵本の紹介を中心に

 

chapter  1 レオとアート

 

1.レオとアート―絵本の紹介

 

1940~1960年代の油絵

 

chapter  2 自分探し

 

2.自分探し―絵本の紹介

 

スイミーの謎

 

chapter  3 平和を求めて

 

亡命先のアメリカで
アートディレクター時代のレオーニ(前列右)、
後列左側はマン・レイ、その隣に
フェルディナン・レジェの姿も

 

3.平和を求めて―絵本の紹介

 

 

「あおくんときいろちゃん」誕生秘話
この絵本が発表されたのは、1959年です。ある日、孫たちにおばあちゃんと過ごさせるために、コネチカットの自宅に連れて帰ることになりました。レオは、日頃あまり子どもとの接点がなく、子どもの扱いに慣れていませんでした。混んでいる列車の中で、孫たちは騒ぎ始めます。困ったレオはとっさのアイデアで、手元にあった「ライフ」誌の青と黄色の紙をちぎってお話を始めました。すると孫たちは、お話に引き付けられ、静かになったのです。これが「あおくんときいろちゃん」が生まれた瞬間でした。そしてレオの一冊目の絵本は、子どもの本に初めて抽象表現を取り入れたものとして、歴史に残る名作となりました。

 

「ブリュッセル万国博覧会での事件」
この絵本が生まれる前年の1958年、戦後初の万博として、ブリュッセル万国博覧会が開催されました。東西の冷戦下、政治的な配慮からアメリカはメインのパビリオンの他に、自国の問題を取り上げたもうひとつの展示を企画しました。「未完成の仕事」と名付けられたパビリオンでは、人種差別、環境問題など、アメリカが取り組まなければならないことが、写真や絵などで展示されたのです。このパビリオン全体のアートディレクションを手掛けたのがレオでした。
展示の最後には、様々な人種の子供たちが輪になって遊んでいる様子をとらえた大きな写真が飾られました。それは、アメリカが抱えている黒人差別などの社会問題を隠すのではなく、明らかにしたうえで、目指すべき未来のビジョン(=肌の色が違っても世界中の子どもたちが仲良く手をつなぎあうこと)を示したものでした。しかし、このパビリオンは、政治的圧力により数週間で閉鎖され、展示は見られなくなってしまったのです。
*いままさに進行中の、あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」の、展示中止を予測した事件とも言えます。
 

 

グラフィックデザイン

 

chapter  4 リアル?フィクション?

 

4.リアル?フィクション?―絵本の紹介

 

想像肖像

 

「平行動物」シリーズ:向日葵(ジーラ・ルーナ) 1971年

 

レオとアニメ

 

写真撮影コーナー

 

レオ・レオーニ:

1910年、オランダ生まれ。イタリアに暮らしていましたが、1939年、第二次世界大戦中にユダヤ系であるレオーニはアメリカに亡命。イラストレーター、グラフィック・デザイナーとして活躍していた1959年、孫のために制作した「あおくんときいろちゃん」で絵本作家としてデビュー。1999年にイタリアで亡くなるまでに、40冊近くの絵本が発表され、日本でもその多くが翻訳出版されています。

 

「みんなのレオ・レオニー展」

赤い色をしたきょうだいたちの中で、唯一黒い魚の物語『スイミー』。小学校の教科書に掲載され、日本全国で親しまれています。作者のレオ・レオーニ(1910-1999)は、イタリアやアメリカでグラフィック・デザイナーとして活躍した後、『あおくんときいろちゃん』で、初めて絵本の世界に足を踏み入れました。ねずみの『フレデリック』や、しゃくとりむしの『ひとあし ひとあし』など、小さな主人公たちが「自分とは何か」を模索し、学んでいく物語を、水彩、油彩、コラージュなどさまざまな技法を用いて描きました。本展では、ヨーロッパとアメリカを移動し続けたレオーニの波乱の生涯を、作品と重ね合わせながら紹介します。絵本作家、アート・ディレクターとしての仕事、絵画、彫刻など幅広い活動を紹介し、レオーニが子どもの絵本に初めて抽象表現を取り入れるに至った道筋にも光を当てます。

 

「損保ジャパン日本興亜美術館」ホームページ

https://www.sjnk-museum.org/

 

「みんなのレオ・レオニー展」

図録

編集:朝日新聞社企画事業部文化事業部、松岡希代子、

高木佳子(板橋区立美術館)、砂塚美穂

発行:朝日新聞社 ©朝日新聞社2018-2020

 

カバー・ケースに入れた状態

 

美術館移転準備のため休館

 

「工事中の新美術館」と「新美術館完成予想図」
 
美術館移転準備のため休館
休館日 2019年9月30日(月)~ 2020年2月14日(金)
美術館は2020年5月にビル敷地内に移転オープンする予定。
 

42階からのこの眺めは見られなくなる?
 
朝日新聞:2019年7月17日