「天皇が自ら動くとき」、A新聞編集委員K記者に聞く! | とんとん・にっき

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来るもの拒まず去る者追わず、
日々、駄文を重ねております。

6月25日、朝日新聞朝刊には、「チェロコンサート 両陛下が鑑賞」として、学習院創立百周年記念会館で、若手のチェリスト、笹沼樹さんのコンサートを鑑賞したこと。カザルスの「鳥の歌」などを聞き、関係者によると、両陛下は「すごくいい音で素晴らしかった」と述べたという。


今日6月26日、朝日新聞夕刊には、「眞子さま お忍び鑑賞」として、日本橋三越本店をお忍びで訪れ、日本工芸会主催の伝統工芸木竹展を鑑賞し、同店前では集まった人たちから「おめでとうございます」と声が上がり、笑顔で答えたと、記事はいう。


6月20日の朝日新聞には、「婚約内定7月8日 眞子さま・小室さん」という記事が!


天皇、皇后両陛下が、皇后さまの生家、正田邸の跡地の「ねむの木の庭」を訪れた様子を伝える記事です。「公表されていない私的な外出」と書かれています。


朝日新聞6月9日夕刊「退位特例法 成立 天皇陛下『上皇』に」!

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2016年7月14日の朝日新聞には、「天皇陛下 生前退位の意向」という記事が!
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NHK NEWS WEB>「象徴としてのお務めについての天皇陛下お言葉」


6月17日(土)午後2時から、長く皇室・宮内庁を取材してきたA新聞の編集委員Kさんのお話を聞く会がありました。テーマは「天皇が自ら動くとき」です。


正直言って、この会についての文章を書くことを、何度も自分に問い直し、躊躇してきました。それだけ微妙な問題が多く含まれているからです。が、しかし、大きな時代の変わり目でもあります。舌足らずではあるものの、Kさんから聞いたことの僅かであっても、ここに書き記すことも自分の役目だと思うことにしました。


最近特に、現天皇・皇后の言動が注目を集めています。上にもあげた通り、天皇・皇后両陛下および皇族の方々の行動が、毎日の新聞に載らない日はないといっても過言ではありません。そのメッセージには、どんな意味が込められているのでしょうか?こんな機会は滅多にあるものではありません。いつもより多くの人が参加し、Kさんのお話を聞くことができました。


Kさんは新聞記者になって20数年、各地を転々とし、東京に戻ってデスクになりますが、人の面倒を見るよりは、自ら申し出て平記者のほうがいいとして、現在は宮内庁を担当しています。


武澤秀一の「建築から見た日本古代史」を読んだ時に、以下のように書きました。もちろん、K記者の話を聞いてからのことでしたが。


2016年7月の「天皇陛下 生前退位の意向」という報道、そしてつい先日の「眞子さま婚約へ」という報道、つまり女性皇族の問題が、いま、大きく取り上げられています。NHKが「生前退位の意向示される」と報道すると、宮内庁は事実無根と火消しにまわった。天皇の大きな務めは「皇位の継承」、天皇の位を次の世代に渡し、皇統を保つこと。皇室典範には退位の規定はなく、亡くなるまで位にある「終身天皇制」です。まさに「生前退位」と「万世一系」に関わる問題です。


去年の夏から、天皇の生前退位が注目を浴びるようになりました。2016年7月13日、NHKが午後7時のニュース冒頭で「天皇陛下『生前退位』の意向示される」とスクープしました。宮内庁次長(現在は長官)は「報道された事実はない。事実無根」と火消しに回ったが、天皇陛下は葉山御用邸で「無根ではないですよね」と述べたという。


A記者は解説記事で、まず天皇の大きな務めは「皇統の継承」。天皇の位の無事、次の世代渡し、皇統を保つことにあります。皇室典範に退位規定はなく、亡くなるまで位にある終身天皇制です。退位を認めないことは皇室典範にあり、伊藤博文がつくったという。その問題は議論を棚上げにしてきました。生前退位実現には皇室典範の改定など、政府や国会による法整備が必要だという。


退位とは、天皇の位を存命のうちに譲ることです。前例は200年前の光格天皇。皇室典範には退位の規定はなく皇位継承(代替わり)は崩御(逝去)のみとする「終身天皇制」です。退位を認めなかった理由は、①歴史上、上皇の存在で混乱したこと、②天皇の意志に基づかない外部からの退位強制の恐れがあること、③逆に天皇本人の恣意的退位があり得ること。


敗戦後は、東京裁判で昭和天皇が戦犯訴追される恐れがありました。皇族や政治指導者らから昭和天皇の戦争責任を問う「退位論」の発言が相次いだことも、退位規定を盛り込まなかった背景と見られます。


天皇陛下は、皇統の今後を見据えた取り組みを続けてきました。皇太子さま、秋篠宮さまを交えた三者会談を月1回開催してきました。葬儀や陵墓のあり方を検討し、自分の遺体は土葬から「火葬」にすること、など。代替わりで元号が変わります。次の天皇となるに皇太子さまには男子がいないため、皇位継承順位1位となる秋篠宮さまの処遇が課題となります。


なぜ退位か?宮内庁は2016年8月8日、「象徴としてのお務め」についての天皇陛下のビデオメッセージを発表します。退位への願いを強くにじませています。

・「80を越え、身体の衰えを考慮すると、象徴の務めを果たすことが難しくなると案じる」

・「国事行為や、象徴としての行為縮小には無理がある。摂政を置くのも、務めを果たせぬまま天皇であり続けることに変わりない」

・「健康を損ない、深刻な状態になると、社会が停滞し、国民の暮らしに影響が及ぶ懸念がある」「天皇の終焉にあたっては葬儀と即位の儀式が同時に進行し、行事に関わる人や家族が厳しい状況になる」


安倍政権は2016年9月、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」を設置。14回の会合を重ねて17年4月21日に報告書をまとめた。有識者会議は当初、退位の是非を検討するための専門家ヒアリングを実施。安倍晋三首相の支持基盤である保守系論者が退位に反対した。しかし退位実現を望む圧倒的な世論を背景に、一代限りでの退位を認める方向に固まった。政府は特例法案を国会に提出し、6月9日に参院本会議で可決成立した。18年末に天皇陛下退位、皇太子さまの新天皇即位。19年元旦から新元号への改元か。19年4月の新年度という説も。


K記者の「天皇退位意向」報道、について、いただいた資料に基づいて書いてみました。K記者の話はまだまだ続きます。「皇室取材とメディア」、「天皇と憲法」、「被災地見舞い」、「戦没者慰霊」、「昭和天皇実録」、等々、貴重な発言はどれもこれも目からうろこ、でした。新聞記者とはこういうものなんだ、ということがほんのわずかですが、実感としてわかりました。