「日本の美しい里」を観た、読んだ! | とんとん・にっき

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来るもの拒まず去る者追わず、
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「日本の美しい里」を観た、読んだ、とタイトルに書いたのは、写真と文章からなる本だからです。写真は富田文雄さん、そして文章は井原俊一さんです。本の帯には、「後世に遺したい、日本の原風景」とあり、「自然の恵み豊かな山村風景や厳しい自然のなかで身を寄せ合う集落。昔話に出てくるようなぬくもりを感じる全国約90カ所の里の風景」とあります。この本、調べてみると、「日本の里」(ピエブックス:2011年3月9日発行)の続編のようです。


「日本の美しい里」、どこで見つけたのか。築地にある「ふげん社 」の本棚にありました。この「ふげん社」が面白いスペースなのですが、ここでは触れません。手にとってみると、フリーランスで日本の里山をとり続けている写真家の富田文雄さんの写真と、そして文章が、なんと旧知の井原俊一さんが文章を書いていたので、さっそく購入しました。この文章は短文ですが、味わい深い文章で13本あり、これがまた素晴らしい。こういう文章を書きたいと、僕は思いました。


「日本の美林」(岩波新書:1997年7月22日発行)の案内には、以下のようにあります。

森が荒廃している.〈資源〉と〈環境〉の2極間で揺れる価値観の振り子に揺さぶられた結果である.では,国土の70%をしめる森を「生きた森」に再生するための方策はあるのか.現在の森に実例はあるのか.北海道・富良野から沖縄・ヤンバルまで全国24ヵ所の森を訪ね,資源・環境の2条件を満たす「美林」の像をさぐる.


井原さんとはどういう知り合いなのか、ある会合で知り合いましたが、ちょうど井原さんが「日本の美林」を出してからすぐの頃だったので、たぶん15年以上前のことだと思います。僕はぶしつけに井原さんに、「日本の美林」を書いた時のことを突っ込んで聞くと、一度書いた文章を編集者に突き返され、全部書き直した、というようなことを言っていました。この編集者が、共通の友人Mさんです。この「日本の美林」は、数ある岩波新書のなかでも名著と言えるでしょう。素晴らしい本です。僕は井原さんとは同年代で、すぐ仲良くなりました。そして井原さんが当時勤めていた「森林文化協会」の発行している小冊子に原稿を頼まれ、僕は1年間、短文でしたが書いたことがありました。


その後なぜか連絡が途絶え、昨年だったかその会合で再び顔を合わせました。そして今年に入って、共通の友だち、写真家の小山さんの出版記念パーティーで顔を合わせ、親しく話す機会がありました。そのときは、この本のことは知りませんでした。井原さんのプロフィールには「北海道生まれ。森林ジャーナリスト。主に森林文化や環境問題に取り組んできた」とあります。いまは退職して、悠々自適の生活を送っているようです。


それはそれとして、富田文雄さんの写真の一部を下に載せておきました。北海道から九州まで、見開き2ページに、何気ない風景ですが、典型的な日本の里の風景が載っています。どれもこれも、さすがはプロと思える、素晴らしい、しかも美しい写真ばかりです。

「ふげん社」の本棚

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この本に出てくる全国約90カ所の里の風景
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この本に出てくる里の風景の一部(たまたま選んだもので、順不同)




iha1 「日本の美林」

岩波新書

著者:井原俊一
発行:1997年7月22日

森が荒廃している。「資源」と「環境」の二極間で揺れる価値観の振り子にゆさぶられた結果である。では、国土の70%をしめる森を「生きた森」に再生するための方策はあるのか。現在の森に実例はあるか。北海道・富良野から沖縄・ヤンバルまで全国24カ所の森を訪ね、資源・環境の二条件を満たす「美林」への営みを追求する。