戸栗美術館で「涼のうつわ―伊万里焼の水模様―」を観た! | とんとん・にっき

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戸栗美術館で「涼のうつわ―伊万里焼の水模様―」を観てきました。戸栗美術館へは、自分で思っているほど観に行ってないこと、過去の記事を観直すと鍋島展が多く、伊万里焼は今回が初めてでした。「2014年年間スケジュール」を見ると、伊万里焼が多いようです。「動物図鑑展」は見逃しましたが、今年度はあと残りの展覧会に通いたいと思います。


2014年年間スケジュール

・4月12日(土)~6月29日(日)

 「古伊万里動物図鑑展」

・7月12日(土)~9月21日(日)

 「涼のうつわ―伊万里焼の水模様―展」

・10月4日(土)~12月23日(火・祝)

 「古九谷・柿右衛門・鍋島展」

・2015年1月6日(火)~3月22日(日)

 「江戸の暮らしと伊万里焼展」


展示構成は、おおむね以下のようです。

・水のある風景

伊万里焼では、目にも涼やかな水のある風景が様々な意匠であらわされています。代表的な意匠として、江戸時代を通して描かれた「山水文」があります。切り立った山々、楼閣(建築物)、橋や対岸にたたずむ人物、船、水面など、複数の要素で構成されるこの意匠は中国陶磁に祖形が求められますが、伊万里焼ではそれらをうつわの大小に合わせて簡略化して描きました。また唐子(子供)や釣人などと水辺の風景を組み合わせて描いた作例も見られます。


・水のかたち~波涛・流水・滝・雲・雨・雪~

水はその場に静かに留まるだけでなく、常に形態を変化させるもの。風が吹けば波が立ち、風に運ばれ流水となって移動します。また雲となり、雨として降り、雪や氷などの個体にも変化します。古来より人々はその動きを巧みにとらえ、様々な文様を生み出しました。伊万里焼においても、絵画や染織品などに影響を受けながら、染付の濃淡や型紙刷りなどの技法を駆使して、多様な水の意匠をあらわしています。


・水のいれもの~水指・水注・盃・盃洗・杯~

伊万里焼では、水を入れるための様々なうつわもつくられました。茶の湯の世界で用いられた清らかな水を入れるための水指をはじめ、料亭で開かれた宴席などで用いられた水注・盃・盃洗といった食器など、染付による絵付けを施した製品が多数見られます。









「涼のうつわ―伊万里焼の水模様―」

今展は、江戸時代につくられた伊万里焼の中から“水”をテーマに取り上げ、暑い夏に一時の“涼”を感じさせるうつわの数々をご紹介致します。日本初の磁器として17世紀初頭に肥前地方で製造が始まった伊万里焼。初期につくられた皿や水指などの製品には、当時日本国内で人気の高かった中国製の染付磁器から模倣した山水文が多く描かれました。沢山の水を湛えた情景は、落ち着いた色調の染付や青味がかった磁肌と相まって、涼やかな趣を呈しています。以降、伊万里焼では、固有の形態をもたない水を、滝文や波濤文、雨文や雪文として巧みに意匠化し描き出してきました。染付の濃淡や型紙刷りなどの技法を駆使してあらわされた水の意匠は、清々しい水辺の空気や、触れた時の冷たさといった“涼”の記憶を呼び起こしてくれます。また、伊万里焼では水をいれるためのうつわもつくられました。染付の青1色で絵付けされた水注や盃などは、江戸時代の人々の乾いたのどを潤す際にも用いられた事でしょう。このように様々な視点から、伊万里焼にあらわされた“水”模様をご覧いただく、夏にふさわしい企画展です。


「戸栗美術館」ホームページ


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