2014年4月23日(水)から4月30日(水)まで、「フランス」へ8日間、格安ツアーで行ってきました。オルセー美術館へ行ったのは4月29日、午前中にオルセーを観て、午後には空路帰国の途へ、慌ただしいツアー最後の日でした。
以前オルセーへ行ったのは1988年秋、建築関係の視察旅行の時に、1986年にできたばかりのオルセーへ行きました。その時はほとんどガエ・アウレンティの手掛けた内部空間を観ることが目的で、絵画の鑑賞にはあまり時間を割けませんでしたが、それでもオルセーの中を駆け足で観て回しました。その後オルセーは、2011年には1年半かけた改装工事が終わり、新しいオルセーに生まれ変わっていました。国立新で「オルセー美術館展」が開催されることはポスターやチラシで知っていました。当然目に入ったのが、マネの「笛を吹く少年」でした。
国立新美術館で「オルセー美術館展 印象派の誕生―描くことの自由―」を観てきました。観に行ったのは7月10日でした。オルセーは「印象派の殿堂」と呼ばれています。1874年の第1回印象派展開催から140年、オルセー美術館から珠玉の絵画84点が集結しました。
今回の「オルセー美術館展」の“みどころ”は、チラシによると以下の通りです。
・パリ・オルセー美術館を代表する至高の名画84点が来日
・マネに始まり、マネに終わる
―近代絵画の立役者マネの貴重な作品11点を一挙公開
・印象派が誕生した時代に迫る
―19世紀後半、伝統と革新が交錯したフランス美術を一望
・印象派、レアリスム、アカデミスム
―各流派を代表する巨匠たちの個性が、様々なテーマを通して浮き彫りに
近代絵画の立役者マネの作品は11点、マネの代表作が「笛を吹く少年」(1866年)で、もちろん最初に展示されていました。これが意外に大きな絵でした。モデルは、マネの友人の軍人がアトリエに連れてきた少年。奥行きの曖昧な背景の処理には、17世紀スペインの画家ベラスケスの影響が指摘されているが、平面的な描き方は浮世絵からも着想を得たようです。サロンには落選したが、若き批評家エミール・ゾラに絶賛された、という。
印象派の誕生へつながったといわれているモネの記念碑的大作「草上の昼食」(1865-66年)は、日本初公開です。マネの「草上の昼食」に誘発されて若きモネが挑んだ野心作。当初は縦4m×横6mの大作でしたが、家賃が払えず大家の手に渡り、取り戻したときには損傷のため分断せざるを得なかったという。ピクニックという近代的な主題と、葉の重なりや木漏れ日を捉える明るく細やかなタッチは、印象派絵画の誕生を予感させる、と解説にあります。
印象派の前に登場したのは社会の現実を直視するレアリスム。クールベの「市から帰るフラジェの農民たち」や、ミレーの傑作「晩鐘」は、レアリスムを代表する絵画です。農民だったミレーの祖母は、夕刻、祈りの時を告げる鐘が鳴ると、皆に畑仕事の手をとめさせ、死者のために祈らせたという。ミレーはその想い出をもとにこの作品を描きました。一心に祈る農民夫婦の姿は、素朴でありながら尊厳に溢れています。
「裸体」と銘打ったコーナーは今までの展覧会ではあまり見られなかったが、今回はカバネルの「ヴィーナスの誕生」を前面に押し出しています。この作品は1863年のサロンで絶賛され、ナポレオン3世による国家買い上げの名誉にあずかりました。理想化された身体と官能性を巧みに組み合わせた裸婦の描写です。他にクールベは生々しい裸婦を描き、古典の美の規範に挑みました。さらにミレーの「横たわる裸婦」、ルノワールの「横たわる半裸の女(ラ・ローズ)」などもありました。
特記すべきは、いわゆる「出品作品リスト」がおしゃれな小冊子になっていたこと、また近年高騰を続ける図録ですが「ミニ図録」が販売されていたこと、「ミュージアムカフェ マガジン」で「オルセー美術館展」が取り上げられていて、鈴木芳雄や藤原えりみ、林綾野らの詳細な解説がついていて、フリーペーパーとはいえ侮れないものでした。
2010年、やはり国立新美術館で「オルセー美術館展2010 ポスト印象派」がありました。目玉はモネの「日傘の女性」でしたが、そこで「ポン=タヴェン派」や「ナビ派」の詳細な区分けを初めて知りました。今、三菱一号館で開催している「ヴァロットン展」、その目玉である「ボール(ボールで遊ぶ子供のいる公園)」を始めて観たのも「オルセー ポスト印象派」でした。そのチラシも知っていたので、4月末の行ったオルセーで「ボール」はすぐ見つかりました。
国立新美術館で「オルセー美術館展2010 『ポスト印象派』」を観た!
展覧会の構成は、以下の通りです。
1章―マネ、新しい絵画
2章―レアリスムの諸相
3章―歴史画
4章―裸体
5章―印象派の風景 田園にて/水辺にて
6章―静物
7章―肖像
8章―近代生活
9章―円熟期のマネ
1章―マネ、新しい絵画
2章―レアリスムの諸相
3章―歴史画
4章―裸体
5章―印象派の風景 田園にて/水辺にて
6章―静物
7章―肖像
8章―近代生活
9章―円熟期のマネ
「オルセー美術館展 印象派の誕生―描くことの自由―」
「印象派の殿堂」として知られるパリ・オルセー美術館から、珠玉の絵画84点が来日します。テーマは「印象派の誕生」。1874年の第1回印象派展開催から140年 ― パリの美術界を騒然とさせた「新しい絵画」の誕生の衝撃が、選りすぐりの名画によって東京・六本木に鮮やかによみがえります。マネに始まり、モネ、ルノワール、ドガ、セザンヌら印象派の立役者となった画家たちの作品はもちろんのこと、同時代のコローやミレー、クールベのレアリスムから、カバネル、ブグローらのアカデミスム絵画まで、まさに時代の、そしてオルセー美術館の「顔」ともいうべき名画が集結する本展に、どうぞご期待ください。
ミニ図録
執筆:国立新美術館 宮島綾子、横山由季子、岩瀬慧
編集:読売新聞東京本社事業局文化事業部
国立新美術館
「オルセー美術館展 MINI GUIDE」
東出昌大:展覧会ナビゲーター
出品作品リスト
イベントカレンダー
美術館・博物館情報フリーペーパー
「ミュージアムカフェ マガジン」vol.09
「オルセー美術館展 印象派の誕生―描くことの自由―」19世紀フランス美術の本音がわかる
「オルセー美術館 絵画鑑賞の手引き」
クールベ、マネ、ルノワール、モネ、
ドガ、ヴァン・ゴッホ、ゴーギャンなど
日本語版
*4月29日にオルセー美術館で購入