彼女との恋は、

 

遠距離恋愛という制限がある恋愛で、

 

直ぐに会いたいとか、明日会いたいとか

 

わがままが言えない恋。

 

なので会っている時は1秒でも大切にした。

 

 

彼女は月に一度、僕に会いに来てくれる。

 

その度に僕たちは手をつないで旅をし、

 

新たな思い出を刻んでいった。

 

パワースポットや、夕陽に染まるビーチ、

 

二人だけの秘密のスポット。

 

どの瞬間も彼女の笑顔が輝いていて、

 

僕はその笑顔に何時も救われた。

 

仕事で悩んだり、苦しんだ時期も彼女の

 

笑顔を思い出すことで救われた。

 

喧嘩なんてしたことがなかった。

 

彼女はいつも穏やかで、柔らかい言葉で

 

僕を包んでくれる。

 

 

けれど、そんな穏やかな日々にも、やがて影が忍び寄る。

 

付き合い始めて3年を過ぎた頃、

 

彼女は静かに、しかし確固たる想いを込めて言った。

 

「結婚してほしいの。」

 

その言葉はまるで小石を投げ込んだ水面のように、

 

僕の心に波紋を広げていく。

 

彼女の瞳には揺るぎない決意が映っていて、

 

僕は言葉を失った。

 

お互いに子供がいなかったら、きっと迷わず頷けた。

 

でも現実はそう甘くない。

 

彼女には彼女の愛すべき子供がいて、

 

僕にもまた守らなければならない家族がいる。

 

その事実は、僕たちの間に消えない壁を作り出していた。

 

何度も話し合った。涙を流しながら、

 

愛を確かめ合いながら、それでもどうにもならない

 

現実が僕たちを苦しめた。

 

「別れるのが正しいよね。」

 

最後に彼女がそう呟いた時、僕は何も言えなかった。

 

彼女の涙を見た瞬間「ごめんと一言」つぶやいた。

 

その日、彼女の背中が遠ざかる姿を見送った。

 

婚外恋愛の別れは辛かった。

 

彼女には今でも感謝しかない。